高貴な財閥夫婦の秘密
「そんなの、耐えられない……!
それなら、那留くんと結婚して“お友達として”知くんと会う方が良い!」
「そうだね…」
でも知嗣にとっては、梨良が自分以外の人間と結婚する方が辛い。
「ごめんなさい、知くん。
でも私は、知くんだけが大好き……!」
「僕だって、梨良しかいらない。
梨良が傍にいてくれないと、生きてる意味がない」
「うん。
“その気持ちだけで”嬉しい!」
「………」
切なく微笑む梨良を見ていると、悲しくて、苦しくて、そして………苛立ってくる。
「………知くん?」
「………梨良は、それでいいの?」
「え?」
「もちろん那留は幼なじみだし、僕にとっても大切な親友。
結婚生活もそれなりに悪くないとは思う。
だからって梨良は、僕がいなくて平気なの?
那留とキス出来るの?
那留に抱かれても良いの?」
「………」
「………僕は嫌だよ…
例え友達として会えたとしても、僕以外の人間と梨良がキスしたり、抱かれたりするなんて吐き気がする。
梨良は、僕の梨良なんだよ?
僕以外の人間のモノになるなんて、耐えられない」
「――――――だったら、どうすればいいの?」
梨良の目から、止まっていた涙がまた溢れてきた。
知嗣は、無言で梨良を抱き上げる。
そして……ベッドに連れていき、優しく下ろした。
組み敷いた知嗣は「今は、考えるのやめよ?」と言って、梨良の口唇をなぞった。
「ん……知、くん?」
「梨良、今日は“クリスマス”だよ?
今日は何も考えずに、僕に愛されて?」
そう言って、梨良の口唇を塞いだ。
――――――――――
――――――…………………
その日の夜中。
美奈のアパートにいた、那留。
今は抱き締め合って眠っている美奈を、那留が切なく見下ろし頭を撫でている。
那留のスマホに、知嗣から着信が入る。
「…………ん…トモ?
……んだよ…」
『ごめん、起こして』
「ど…した?」
『至急、話したいことがある。
会えない?』
「…………ん…わかった」
今日、互いにデートをしていることは知っている。
しかも今日はクリスマス。
なのに、知嗣が連絡してきた。
これに深い意味があることを察した那留は、腕の中で眠っている美奈にキスを落としてベッドを下りた。
そしておそらく“梨良との結婚のことだろう”ということも察する。
二人は、よく行くバーで待ち合わせた。
那留が着いて中に入ると、知嗣が軽く手を上げた。
それなら、那留くんと結婚して“お友達として”知くんと会う方が良い!」
「そうだね…」
でも知嗣にとっては、梨良が自分以外の人間と結婚する方が辛い。
「ごめんなさい、知くん。
でも私は、知くんだけが大好き……!」
「僕だって、梨良しかいらない。
梨良が傍にいてくれないと、生きてる意味がない」
「うん。
“その気持ちだけで”嬉しい!」
「………」
切なく微笑む梨良を見ていると、悲しくて、苦しくて、そして………苛立ってくる。
「………知くん?」
「………梨良は、それでいいの?」
「え?」
「もちろん那留は幼なじみだし、僕にとっても大切な親友。
結婚生活もそれなりに悪くないとは思う。
だからって梨良は、僕がいなくて平気なの?
那留とキス出来るの?
那留に抱かれても良いの?」
「………」
「………僕は嫌だよ…
例え友達として会えたとしても、僕以外の人間と梨良がキスしたり、抱かれたりするなんて吐き気がする。
梨良は、僕の梨良なんだよ?
僕以外の人間のモノになるなんて、耐えられない」
「――――――だったら、どうすればいいの?」
梨良の目から、止まっていた涙がまた溢れてきた。
知嗣は、無言で梨良を抱き上げる。
そして……ベッドに連れていき、優しく下ろした。
組み敷いた知嗣は「今は、考えるのやめよ?」と言って、梨良の口唇をなぞった。
「ん……知、くん?」
「梨良、今日は“クリスマス”だよ?
今日は何も考えずに、僕に愛されて?」
そう言って、梨良の口唇を塞いだ。
――――――――――
――――――…………………
その日の夜中。
美奈のアパートにいた、那留。
今は抱き締め合って眠っている美奈を、那留が切なく見下ろし頭を撫でている。
那留のスマホに、知嗣から着信が入る。
「…………ん…トモ?
……んだよ…」
『ごめん、起こして』
「ど…した?」
『至急、話したいことがある。
会えない?』
「…………ん…わかった」
今日、互いにデートをしていることは知っている。
しかも今日はクリスマス。
なのに、知嗣が連絡してきた。
これに深い意味があることを察した那留は、腕の中で眠っている美奈にキスを落としてベッドを下りた。
そしておそらく“梨良との結婚のことだろう”ということも察する。
二人は、よく行くバーで待ち合わせた。
那留が着いて中に入ると、知嗣が軽く手を上げた。