高貴な財閥夫婦の秘密
そして、旅行当日。

朝からニコニコして、ご機嫌の梨良。
那留の運転する車内でも、ずっとニコニコしていた。

「梨良、ずっと笑ってる(笑)」
隣に座る美奈が、クスクス笑う。

「だって!
まさか、結婚して旅行に行けるなんて思ってなかったから!
幸せで……!
フフ…フフフ…!!」

「でも梨良。
ちゃんと身体を休ませないとだよ!」
「そうだぞ?現地まで、二時間はかかる。
乗ってるだけでも、長時間の乗り物は身体に負担かかるからな。
できる限り、寝とけ!」

そんな梨良に、知嗣と那留が順に言った。

「はーい!」

案の定一時間程経つと、梨良が疲れてくる。
口数が少なくなり、美奈が梨良の顔を覗き込む。
「梨良?
ちょっと、休憩する?
外の空気吸った方が良い?」

「梨良、大丈夫?」
「どっか停めようか?」

「ううん、まだ大丈夫…」 

「じゃあ、私の肩に頭乗せて?」

「ありがとう…」
美奈の肩を借りて、ゆっくり目を瞑った。
美奈がゆっくり頭を撫でると、梨良はフフ…と笑いだした。

「ん?梨良?」

「気持ちいいなって…!
美奈さん、ありがとう!」

「うん……!
もう少しだからね!」

「うん!
……………フフ…向こうに着いたら、知くんとお外お散歩するの〜!
お部屋の周りは大丈夫だよね?」

「えぇ!
受付場所から一番遠い部屋だけど、その分私達だけの空間だから!」


更にしばらく走って………

「ちょっと休憩がてら、昼飯食おうぜ!」
駐車場に車を停めた那留。
そう言って後ろを振り向く。

「寝てるよ(笑)」
助手席の知嗣が微笑み言った。

「みたいだな(笑)」

「僕、なんか買ってくるよ。
ここ、テイクアウト出来るだろうし」

「あぁ、頼む」

「…………あ!梨良に必要以上に触らないでね!」
車を降りようとして知嗣が振り向いた。

「はい?
必要以外で触らねぇよ!(笑)」

「梨良って寝顔はもちろんだけど、何をしてても可愛いから」

「美奈も可愛いし!」

知嗣は、フンと笑って車を降りた。

「………ったく…
逆に触るぞ、こら!(笑)」

そう呟いて、梨良の頬に触れた。
「柔らかっ!(笑)」

そしてすぐ手を離そうとすると、ガシッと梨良に手を掴まれた。

「―――――は?」

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