高貴な財閥夫婦の秘密
パタン…と閉まったドアを見つめながら、美奈は「ごめんね…」と呟いた。
我ながら、冷たく引き離してしまったと思う。
しかし、きつくて余裕がない。
「病院…行かなきゃ…」
美奈はゆっくり起き上がった。
簡単に着替えて玄関に向かうと、階段の先に(階段を降りた一番下の手すり)袋がかかっていた。
梨良の好きなブランドのミニトートバッグで、中には水筒と手紙が入っていた。
【美奈さん。
会うのは気を遣わせるのでこうゆう形にしました。
水筒に、生姜湯が入ってます。
身体が温まるし、風邪に良く効くよ!
私の亡くなった母が、よく作ってくれてたの!
これ飲んで、早く良くなりますように……♡
あと、何かあったら遠慮なく言ってね!
移すことが気になるなら、マスク3枚重ね付けするからね!
病院、気を付けて行ってきてね!
お大事に!
梨良】
「梨良…ありがと…!」
美奈は呟き、家を出た。
タクシーに揺られながら、美奈は梨良のことを考えていた。
作ってくれた粥とスープ、生姜湯、手紙……
どれを取っても、梨良の“愛情”が感じられた。
しかも梨良は、結婚式の夜のほとんど意識がない状態のあの時も美奈のことばかり気にしていた。
『美奈さ…ごめんね…ごめんね……
せっかくの、那留く…との時間…ごめんなさ……』と。
うなされるように言っていた。
私は、余裕なくて冷たく引き離してしまったのに……
そして美奈は感染症ではなく、軽い風邪で済んだ。
屋敷に帰ると、今度はリビングのテーブルにまた梨良からの手紙が置かれていた。
【美奈さん。
病院、どうだった?
鍋に、雑炊が入ってます。
味も薄めにしたので、胃に負担はないと思うから良かったら食べてね!
あと、冷蔵庫にゼリーと果物をいくつかを入れてます。
あ、でも!無理はしないでね!
残して全然構わないし、ゼリーや果物もすぐには腐らないからゆっくり那留くんと食べてね!
梨良】
美奈は、梨良に電話をかけた。
すると、まるで待ち構えていたようにすぐに出た梨良。
『美奈さん!?大丈夫!』
「うん、大丈夫だよ。
ただの風邪だった。
雑炊とか色々、ありがとう。
ゆっくり食べさせてもらうね!」
『良かったぁ……!』
電話口のホッとしたような梨良の声。
それを聞いていると、なぜか涙が出てきた。
『ん?美奈さん?
どうしたの?』
「……っ…ううん…大…丈夫…!」
『ほんとに!?
無理しないで?
………って、きついのに電話させた私が悪いよね(笑)
とにかく、横になってね!
ゆっくり身体休めてね!』
「ん…ありがとう!
じゃあ…雑炊食べて、お薬飲んだら横になるね」
『うん!
お大事にね……!』
通話を切り、美奈はなんだか満たされた気持ちになっていた。
我ながら、冷たく引き離してしまったと思う。
しかし、きつくて余裕がない。
「病院…行かなきゃ…」
美奈はゆっくり起き上がった。
簡単に着替えて玄関に向かうと、階段の先に(階段を降りた一番下の手すり)袋がかかっていた。
梨良の好きなブランドのミニトートバッグで、中には水筒と手紙が入っていた。
【美奈さん。
会うのは気を遣わせるのでこうゆう形にしました。
水筒に、生姜湯が入ってます。
身体が温まるし、風邪に良く効くよ!
私の亡くなった母が、よく作ってくれてたの!
これ飲んで、早く良くなりますように……♡
あと、何かあったら遠慮なく言ってね!
移すことが気になるなら、マスク3枚重ね付けするからね!
病院、気を付けて行ってきてね!
お大事に!
梨良】
「梨良…ありがと…!」
美奈は呟き、家を出た。
タクシーに揺られながら、美奈は梨良のことを考えていた。
作ってくれた粥とスープ、生姜湯、手紙……
どれを取っても、梨良の“愛情”が感じられた。
しかも梨良は、結婚式の夜のほとんど意識がない状態のあの時も美奈のことばかり気にしていた。
『美奈さ…ごめんね…ごめんね……
せっかくの、那留く…との時間…ごめんなさ……』と。
うなされるように言っていた。
私は、余裕なくて冷たく引き離してしまったのに……
そして美奈は感染症ではなく、軽い風邪で済んだ。
屋敷に帰ると、今度はリビングのテーブルにまた梨良からの手紙が置かれていた。
【美奈さん。
病院、どうだった?
鍋に、雑炊が入ってます。
味も薄めにしたので、胃に負担はないと思うから良かったら食べてね!
あと、冷蔵庫にゼリーと果物をいくつかを入れてます。
あ、でも!無理はしないでね!
残して全然構わないし、ゼリーや果物もすぐには腐らないからゆっくり那留くんと食べてね!
梨良】
美奈は、梨良に電話をかけた。
すると、まるで待ち構えていたようにすぐに出た梨良。
『美奈さん!?大丈夫!』
「うん、大丈夫だよ。
ただの風邪だった。
雑炊とか色々、ありがとう。
ゆっくり食べさせてもらうね!」
『良かったぁ……!』
電話口のホッとしたような梨良の声。
それを聞いていると、なぜか涙が出てきた。
『ん?美奈さん?
どうしたの?』
「……っ…ううん…大…丈夫…!」
『ほんとに!?
無理しないで?
………って、きついのに電話させた私が悪いよね(笑)
とにかく、横になってね!
ゆっくり身体休めてね!』
「ん…ありがとう!
じゃあ…雑炊食べて、お薬飲んだら横になるね」
『うん!
お大事にね……!』
通話を切り、美奈はなんだか満たされた気持ちになっていた。