高貴な財閥夫婦の秘密
【結婚式】
結婚式――――――
二人が結婚の誓いを立て、夫婦となることを神様や参列者の前で表明する儀式。
だからそれは“幸せに満ちている”と思う。
しかし、四人にとっては……辛く悲しい儀式だった。
“隠岐原ご夫妻控室”と書かれたドア。
那留と梨良は、タキシードとウエディングドレスに着替え待機していた。
知嗣と那留、美奈がメッセージのやり取りをしている。
知嗣と美奈は、結婚の参列者として出席している。
「………少し、夫婦二人にしてくれ」
そして、那留が従業員に言った。
「はい、かしこまりました!
では、10分後にお声掛けさせていただきますね!」
「あぁ。
……………10分…」
従業員が出ていく。
それを見届けて、那留が梨良に言った。
「美奈にちょっと会ってくる。
10分だけ、トモとの二人の時間を噛みしめて?」
「うん」
梨良が大きく頷き、那留は警戒しながら控室を出た。
那留は、美奈がいる人気のない所に向かった。
「………美奈…!」
そう言って、美奈を力強く抱き締めた。
美奈は那留の腕の中で、必死に涙を堪えていた。
泣いちゃダメ!
泣いちゃダメ!
泣いちゃダメ!!と………
「泣いていいよ、美奈」
向き直って、那留が頬を包み込んだ。
「ううん、我慢する」
「なんで?」
「きっと……これからの方が辛いと思うの。
だから、ここで泣いてられない!」
「相変わらず、強いな…(笑)
ほんと、美奈カッコいい!」
「フフ…」
微笑む美奈に、那留も微笑む。
そして、頬に触れた。
「…………なぁ…」
「ん?」
「キス、していいか?」
「うん」
「今のうちに、沢山……!」
「うん、私もしておきたい……!」
「ごめんな、梨良とキスしないとだから……」
「それは、那留、知嗣さん、梨良も同じよ。
辛いのは、みんな同じ。
大丈夫……!」
那留は「そうだな…」と切なく微笑み、美奈にキスを落とした。
二人は時間が許す限り何度も、キスを交わした。
二人が結婚の誓いを立て、夫婦となることを神様や参列者の前で表明する儀式。
だからそれは“幸せに満ちている”と思う。
しかし、四人にとっては……辛く悲しい儀式だった。
“隠岐原ご夫妻控室”と書かれたドア。
那留と梨良は、タキシードとウエディングドレスに着替え待機していた。
知嗣と那留、美奈がメッセージのやり取りをしている。
知嗣と美奈は、結婚の参列者として出席している。
「………少し、夫婦二人にしてくれ」
そして、那留が従業員に言った。
「はい、かしこまりました!
では、10分後にお声掛けさせていただきますね!」
「あぁ。
……………10分…」
従業員が出ていく。
それを見届けて、那留が梨良に言った。
「美奈にちょっと会ってくる。
10分だけ、トモとの二人の時間を噛みしめて?」
「うん」
梨良が大きく頷き、那留は警戒しながら控室を出た。
那留は、美奈がいる人気のない所に向かった。
「………美奈…!」
そう言って、美奈を力強く抱き締めた。
美奈は那留の腕の中で、必死に涙を堪えていた。
泣いちゃダメ!
泣いちゃダメ!
泣いちゃダメ!!と………
「泣いていいよ、美奈」
向き直って、那留が頬を包み込んだ。
「ううん、我慢する」
「なんで?」
「きっと……これからの方が辛いと思うの。
だから、ここで泣いてられない!」
「相変わらず、強いな…(笑)
ほんと、美奈カッコいい!」
「フフ…」
微笑む美奈に、那留も微笑む。
そして、頬に触れた。
「…………なぁ…」
「ん?」
「キス、していいか?」
「うん」
「今のうちに、沢山……!」
「うん、私もしておきたい……!」
「ごめんな、梨良とキスしないとだから……」
「それは、那留、知嗣さん、梨良も同じよ。
辛いのは、みんな同じ。
大丈夫……!」
那留は「そうだな…」と切なく微笑み、美奈にキスを落とした。
二人は時間が許す限り何度も、キスを交わした。