Side Story 〜葉月まい 番外編集〜
四年間テーマパークダンサーとして働いていた美桜は、アレンとの結婚を決めた時、事務所の由香とみどりに退職を申し出た。
ここでの仕事は大好きだが、これからはイギリスで暮らす為、仕方がないと。
そんな美桜に、由香とみどりは「辞める必要なんてある?」と言い、美桜がイギリスにいてもオンラインでショーの企画会議やレッスンに参加したり、夏休みやクリスマスには一時帰国してショーに出演して欲しいと提案したのだった。
イギリスにいても、大好きな仕事を続けられる!と美桜は目を輝かせ、そんな美桜の為に、アレンは出来る限りのサポートをしていた。
住まいのパレスに、壁一面の鏡やバーのあるダンスルームを作り、日本とのオンラインでのやり取りがしやすいようにと、大型のモニターも備えつけた。
おかげで美桜は毎日身体を動かすことが出来、遠く離れていてもショーの準備に不安はなかった。
これから二週間はオンラインでレッスンに参加し、クリスマスショーが始まるニ日前に一時帰国する予定でいる。
「はーい、じゃあ頭から曲かけてやってみるよ。後半はしっとりしたナンバーなんだけど、前半はノリが良くてアップテンポなの。笑顔で明るく踊ってね」
由香の言葉に、メンバーはスタートのポジションにつく。
みどりが音楽を流し始めると、「ええー!?」とメンバーから声が上がった。
「由香先輩、テンポ速くないっすか?」
巧の言葉に皆も「うんうん」と頷く。
予想より二倍速くらいの曲だった。
「つべこべ言ってる暇なーい。行くよー、はい!」
由香に追い立てられ、皆は真剣な表情で踊り出す。
美桜も必死でついていった。
「うん、みんなこのテンポでいけるっしょ?ラストのポーズのあとは、いつもみたいに横一列でお辞儀ね。じゃ、今日のレッスンは終了ー!」
そう言うと由香はさっさとレッスンルームをあとにする。
残されたメンバーは、自然と居残って振りの確認を始めた。
美桜のいるイギリスは朝だが、日本は既に夜の七時。
おそらくレッスンのあとは、もう業務はないのだろう。
皆で残って練習をするのは、いつもの流れだった。
「じゃあさ、もう一回音に合わせてやってみようぜ」
ダンスリーダーでもある巧の呼びかけに頷き、その後も皆で何度か通してみた。
「うん、いいんじゃないか?あとは慣れるだけだな」
巧の言葉にホッとして、今日のところは終了。
皆でストレッチしながらクールダウンする。
「ねえ、美桜先輩。帰国はいつなんですか?」
百八十度開脚した綾乃が、上半身をペターっと床につけ、画面を覗き込むように小首を傾げて聞いてきた。
「あやちゃん、可愛い!えっとね、十二月十八日に日本に着くよ。十九日のリハから合流するね」
「わーい!楽しみにしてますね。旦那様もご一緒ですか?」
「ううん、あとから来るの。二十四日の朝に羽田に着くみたい」
「そうなんですね。じゃあ、美桜先輩がショーで踊ってるところも観てもらえますね」
え……、と美桜は苦笑いする。
「それは、どうだろね?あはは」
「えー!?観てくれるに決まってますよ。だって夏休みは、旦那様お仕事で一緒に来られなかったでしょ?今回が初めてのチャンス!踊ってる時のキラキラの美桜先輩見て、旦那様惚れ直しちゃいますよー、きっと。私もお会いしたいな。紹介してくださいね?」
「あ、うん。分かった」
やったー!楽しみ、と満面の笑みを浮かべる綾乃に、「あやちゃん、ほんとに可愛い」と美桜もつられて笑った。
ここでの仕事は大好きだが、これからはイギリスで暮らす為、仕方がないと。
そんな美桜に、由香とみどりは「辞める必要なんてある?」と言い、美桜がイギリスにいてもオンラインでショーの企画会議やレッスンに参加したり、夏休みやクリスマスには一時帰国してショーに出演して欲しいと提案したのだった。
イギリスにいても、大好きな仕事を続けられる!と美桜は目を輝かせ、そんな美桜の為に、アレンは出来る限りのサポートをしていた。
住まいのパレスに、壁一面の鏡やバーのあるダンスルームを作り、日本とのオンラインでのやり取りがしやすいようにと、大型のモニターも備えつけた。
おかげで美桜は毎日身体を動かすことが出来、遠く離れていてもショーの準備に不安はなかった。
これから二週間はオンラインでレッスンに参加し、クリスマスショーが始まるニ日前に一時帰国する予定でいる。
「はーい、じゃあ頭から曲かけてやってみるよ。後半はしっとりしたナンバーなんだけど、前半はノリが良くてアップテンポなの。笑顔で明るく踊ってね」
由香の言葉に、メンバーはスタートのポジションにつく。
みどりが音楽を流し始めると、「ええー!?」とメンバーから声が上がった。
「由香先輩、テンポ速くないっすか?」
巧の言葉に皆も「うんうん」と頷く。
予想より二倍速くらいの曲だった。
「つべこべ言ってる暇なーい。行くよー、はい!」
由香に追い立てられ、皆は真剣な表情で踊り出す。
美桜も必死でついていった。
「うん、みんなこのテンポでいけるっしょ?ラストのポーズのあとは、いつもみたいに横一列でお辞儀ね。じゃ、今日のレッスンは終了ー!」
そう言うと由香はさっさとレッスンルームをあとにする。
残されたメンバーは、自然と居残って振りの確認を始めた。
美桜のいるイギリスは朝だが、日本は既に夜の七時。
おそらくレッスンのあとは、もう業務はないのだろう。
皆で残って練習をするのは、いつもの流れだった。
「じゃあさ、もう一回音に合わせてやってみようぜ」
ダンスリーダーでもある巧の呼びかけに頷き、その後も皆で何度か通してみた。
「うん、いいんじゃないか?あとは慣れるだけだな」
巧の言葉にホッとして、今日のところは終了。
皆でストレッチしながらクールダウンする。
「ねえ、美桜先輩。帰国はいつなんですか?」
百八十度開脚した綾乃が、上半身をペターっと床につけ、画面を覗き込むように小首を傾げて聞いてきた。
「あやちゃん、可愛い!えっとね、十二月十八日に日本に着くよ。十九日のリハから合流するね」
「わーい!楽しみにしてますね。旦那様もご一緒ですか?」
「ううん、あとから来るの。二十四日の朝に羽田に着くみたい」
「そうなんですね。じゃあ、美桜先輩がショーで踊ってるところも観てもらえますね」
え……、と美桜は苦笑いする。
「それは、どうだろね?あはは」
「えー!?観てくれるに決まってますよ。だって夏休みは、旦那様お仕事で一緒に来られなかったでしょ?今回が初めてのチャンス!踊ってる時のキラキラの美桜先輩見て、旦那様惚れ直しちゃいますよー、きっと。私もお会いしたいな。紹介してくださいね?」
「あ、うん。分かった」
やったー!楽しみ、と満面の笑みを浮かべる綾乃に、「あやちゃん、ほんとに可愛い」と美桜もつられて笑った。