Side Story 〜葉月まい 番外編集〜

懐かしい時間

次の日からの三連休。
美桜とアレンは日本でのデートを楽しんだ。

初日はデパート巡りをして、食器や和菓子をたくさん買い込む。

「フレディのお土産にしたいんだ。お父様の為に、見た目も美しい和菓子を作りたいって言ってたから。あ、でも賞味期限が切れちゃうか」
「それなら、また帰国前日にでも買いに来ようよ。美桜が仕事で忙しければ、俺が買いに来るから」
「本当に?助かる。ありがとう!じゃあ、ある程度目星つけておくね」
「それはいいけど。美桜の欲しい物もちゃんと選んでね」
「ええー?私はいいよ。特にないし。あ!この金平糖、フェスティバルの屋台に並べたら良さそうじゃない?」

やれやれ。君って人は本当に……、というアレンの呟きは聞こえなかったらしい。
そのあとも美桜は熱心に、パレスの皆へお土産を選んでいた。

翌日からは一泊二日で箱根の温泉宿に足を延ばす。
露天風呂がついた客室で、二人はのんびりとお風呂に入ったり、美味しい食事を味わった。

新春ショーのリハーサルが始まる為、美桜は二十九日から二日間出勤することになっている。

その間アレンはパークをのんびり見て回ったり、ショーを楽しんだ。

三十日、美桜は夕方に仕事を終えると、急いでホテルに戻る。
部屋で絵梨や仁達と会うことになっていた。

既にアレンと三人で盛り上がっているようで、「待ってるよー!」と絵梨からメッセージが届いていた。

ホテルに着くと、これまでとは違うスイートルームの部屋に向かう。
アレンが、四人で泊まれるようにと、ベッドルームが三つもある部屋を手配してくれていた。

ピンポンとベルを鳴らすとドアが開き、絵梨が飛びついてきた。

「美桜ー!久しぶり」
「絵梨ちゃん!会いたかったー」
「私も。元気だった?」
「うん!絵梨ちゃんも相変わらず元気だね」

抱き合って再会を喜んでから、ようやく部屋の奥に進む。

ソファでは、アレンと仁が向かい合って座っていた。

「仁くん!お久しぶり」
「よっ!美桜ちゃんも元気そうだな」
「うん。仁くんもお仕事順調?」
「まあまあかな。大学卒業したら、途端に仕事が増えてさ。あー、もっと楽して生きていきたーい」

あはは!と美桜は笑い出す。

「色々溜まってるね。今夜はパーッと楽しもうよ」
「そうだな。四人揃ったことだし、始めようか」

アレンがルームサービスで頼んだお酒や軽食を囲んで、四人はソファに座った。
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