Side Story 〜葉月まい 番外編集〜
「ではでは、変わらぬ四人の友情と再会を祝して」

仁の音頭で、かんぱーい!とグラスを掲げる。

「あー、もう嬉しい!積もる話があり過ぎて、何から話せばいいのか分かんなーい」
「絵梨。それってつまり、これと言って大事な話はないって意味だぞ」
「はあ?何オッサンくさいセリフ言ってんのよ、仁ってば」
「オッサンとはなんだ!?同い年だぞ、俺達」
「年なんて関係なーい。オッサンくさいもんはオッサンだもん」
「おい、くさいを省くな。オッサン断定になるだろ」

もう、うるさい!と絵梨は一喝する。

「仁、さては彼女まだ出来ないんでしょ?」

うぐっと仁は言葉を詰まらせた。

「なんでだよ?」
「だってそんな屁理屈こねる男はモテないもんねー。男は、綺麗だね、可愛いね、愛してるよってセリフを繰り返してればいいの」
「はあー!?絵梨こそ何言ってんだ。そんなオウムみたいな男のどこがいいんだよ?」
「オウム!?失礼ね。ちゃんと見た目もイケてる人に言われるのよ」
「へえ、そんな男いるんだ」
「……まあ、いるんじゃない?どこかには」

はあー?と今度は仁に形勢逆転する。

「なんだよ?絵梨もまだ彼氏出来ないんじゃないかよ。じゃあ、あれか?この間のクリスマスもクリぼっちだったんだろ?」
「違うわよ。ちゃんと合コン行ってたもん」
「それ、ほぼクリぼっちだからな」
「じゃあ仁は?完全クリぼっちだったの?」
「……いや、ほぼクリぼっち」
「一緒じゃないよー!」

延々と続きそうな二人のやり取りに、まあまあと美桜は間に入った。

「ねえ、仁くんも絵梨ちゃんもフリーなら、イギリスに遊びに来てくれない?向こうでも会いたいよ」
「おー、いいね!またフォレストガーデンに泊めてくれる?」

するとアレンが、もちろんと頷く。

「絵梨も仁も、いつでも来てよ。予約とかいらないからさ」
「わーい!ありがと、アレン。じゃあ、ゴールデンウィークに行ってもいい?」
「ああ。仁も来なよ。四人で会いたいし」

そうだな、と仁も頷き、美桜は「やったー!」とバンザイする。

「そしたらさ、フェスティバルを手伝ってくれない?ちょうどその頃に開催したいと思ってたんだ」

フェスティバル?と首を傾げる絵梨と仁に、美桜は詳しく話して聞かせた。

「へえ、トムじいさんの牧場でか。いいな。俺も手伝うよ」
「私も!張り切ってたこ焼き焼いちゃうよ?」

既にやる気満々の二人に、美桜は嬉しくなる。

「ふふっ、二人ともありがとう!楽しみにしてるね!」

そのあとも四人は遅くまでおしゃべりを楽しんだ。
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