Side Story 〜葉月まい 番外編集〜

再びイギリスへ

「ただいま!」

パレスに着くと、出迎えてくれたクレア、メアリー、グレッグと美桜は笑顔でハグをする。

「お帰りなさいませ!アレン様、美桜様。お帰りを心待ちにしておりましたわ。さあ、中へどうぞ」
「ええ」

空港からリムジンを運転してくれたメイソンに「ありがとう」と笑いかけてから、美桜は久しぶりのパレスに足を踏み入れた。

広間に行くと、ダイニングテーブルに食器を並べているフレディと、ソファで新聞を読んでいるジョージの姿がある。

「お父様、ただいま戻りました」
「おお!美桜ちゃん、お帰り。アレンも。どうだった?久しぶりの日本は」
「とっても楽しかったです。あ、お父様に色々お土産があって……」

美桜は早速ローテーブルに和菓子や父からの日本の写真集、名前入りのハッピや浴衣を並べた。

「おおー!これはこれは。どれも素晴らしいじゃないか。ご両親にもよろしく伝えておくれ。お?このハッピ!名前が入っておる!」

そう言うとジョージは嬉しそうにハッピに腕を通した。

「どう?美桜ちゃん」
「ふふふ、とってもお似合いです」
「そうかい?いやー、気に入ったよ。早くフェスティバルでこれをお披露目したいな。日程は決まったかい?」
「はい、五月一日にしようかと。日本から絵梨ちゃんと仁くんも手伝いに来てくれるので」
「そうか!それは楽しみだ。あ、美桜ちゃん。綿菓子とポップコーンの機械、レンタルすると言ってたけど、買っちゃった」

は?と美桜は真顔に戻る。

「か、買っちゃった?綿菓子とポップコーンを作る機械を、ですか?」
「うん。だって、欲しくなっちゃって。綿菓子はね、カラフルな色がつけられるんだよ。ポップコーンも、キャラメルやイチゴ味も出来るんだ。今度、パレスのみんなを集めてやってみようよ」
「は、はあ」

気の抜けた返事をしたあと、じわじわと笑いが込み上げてきた。

(さすがはお父様。楽しくなりそう)

その後もお土産話に花を咲かせ、フレディが少し早いですが、と夕食を並べてくれる。

美桜は日本を離れた時の寂しい気持ちも忘れて、笑顔で皆と語り合っていた。
< 39 / 63 >

この作品をシェア

pagetop