Side Story 〜葉月まい 番外編集〜
バレンタイン
「あ、いたいた!明日香」
その日、明日香がオフィスで作業していると、陽子が大きなバッグを手にやって来た。
「陽子さん、お疲れ様です。どうかしましたか?」
「うん。来週の生放送で使うサザンの新曲衣装、手直しが間に合わなくてさ。明日香、時間があったら手伝ってくれない?」
「はい、大丈夫です。私の方は急ぎの仕事はないので」
「良かったー!助かる。サイズの微調整なんだ。しつけはしてあるから。そのあと襟にも飾りを付けたいの」
「分かりました」
二人でカタカタとミシンに向かいながら、作業を進める。
「来週の生放送って、いつもの歌番組ですよね?」
「そう、火曜日の夜のね。明日香も現場入りするでしょ?コットンも出るし」
「は、はい。行きます。火曜日ですもんね。火曜日……」
「ん?何かあるの?火曜日に」
「なな、何もないです」
すると陽子は手を止めて顔を上げた。
「明日香、なんか顔が赤いわね。あ!そっか。バレンタインね?」
へ?と、明日香も顔を上げる。
「来週の火曜日って、バレンタインなんですか?」
「そうよ、2月14日。なあに?明日香、瞬に手作りチョコでも渡すの?」
「いえ、そんな。私がそういうの苦手だって、陽子さんもご存知でしょ?」
「でも苦手なのに作ってくれたなんてって、喜んでくれるわよ?きっと。去年は?買って来たチョコを渡したの?」
「はい、デパ地下の有名店のチョコを。でも瞬くん、現場でたくさんチョコもらうから、更に私からももらって迷惑だったかもしれないです。鼻血が出ないか心配になっちゃって」
真顔でそう言うと、ブハハ!と陽子は豪快に笑い始めた。
「たとえ鼻血が出ても、愛する奥さんからチョコもらったら嬉しいと思うわよ?手作りなら特に。今年はチャレンジしてみたら?世界で1つの特別なチョコ」
特別な……?と、明日香は呟く。
「そう。手作りなんて初めてでしょ?初々しくていいわー」
「そうでしょうか。瞬くん、新鮮な気持ちになってくれるかな?」
「なるなるー!惚れ直しちゃうわよ?きっと」
明日香はじっと考え込んでから、よし、と頷いた。
「陽子さん。私、やります!手作りチョコ、初挑戦します!」
「おおー、がんばれ!明日香。と、その前に衣装仕上げてね」
「分かりました!ちゃっちゃと仕上げて、葵さんにチョコのレシピ教えてもらいます」
「いいねー、その意気よ!明日香」
「はい!」
明日香は気合いを入れて、またミシンに向かった。
その日、明日香がオフィスで作業していると、陽子が大きなバッグを手にやって来た。
「陽子さん、お疲れ様です。どうかしましたか?」
「うん。来週の生放送で使うサザンの新曲衣装、手直しが間に合わなくてさ。明日香、時間があったら手伝ってくれない?」
「はい、大丈夫です。私の方は急ぎの仕事はないので」
「良かったー!助かる。サイズの微調整なんだ。しつけはしてあるから。そのあと襟にも飾りを付けたいの」
「分かりました」
二人でカタカタとミシンに向かいながら、作業を進める。
「来週の生放送って、いつもの歌番組ですよね?」
「そう、火曜日の夜のね。明日香も現場入りするでしょ?コットンも出るし」
「は、はい。行きます。火曜日ですもんね。火曜日……」
「ん?何かあるの?火曜日に」
「なな、何もないです」
すると陽子は手を止めて顔を上げた。
「明日香、なんか顔が赤いわね。あ!そっか。バレンタインね?」
へ?と、明日香も顔を上げる。
「来週の火曜日って、バレンタインなんですか?」
「そうよ、2月14日。なあに?明日香、瞬に手作りチョコでも渡すの?」
「いえ、そんな。私がそういうの苦手だって、陽子さんもご存知でしょ?」
「でも苦手なのに作ってくれたなんてって、喜んでくれるわよ?きっと。去年は?買って来たチョコを渡したの?」
「はい、デパ地下の有名店のチョコを。でも瞬くん、現場でたくさんチョコもらうから、更に私からももらって迷惑だったかもしれないです。鼻血が出ないか心配になっちゃって」
真顔でそう言うと、ブハハ!と陽子は豪快に笑い始めた。
「たとえ鼻血が出ても、愛する奥さんからチョコもらったら嬉しいと思うわよ?手作りなら特に。今年はチャレンジしてみたら?世界で1つの特別なチョコ」
特別な……?と、明日香は呟く。
「そう。手作りなんて初めてでしょ?初々しくていいわー」
「そうでしょうか。瞬くん、新鮮な気持ちになってくれるかな?」
「なるなるー!惚れ直しちゃうわよ?きっと」
明日香はじっと考え込んでから、よし、と頷いた。
「陽子さん。私、やります!手作りチョコ、初挑戦します!」
「おおー、がんばれ!明日香。と、その前に衣装仕上げてね」
「分かりました!ちゃっちゃと仕上げて、葵さんにチョコのレシピ教えてもらいます」
「いいねー、その意気よ!明日香」
「はい!」
明日香は気合いを入れて、またミシンに向かった。