Side Story 〜葉月まい 番外編集〜
「そうだ。瞬と明日香ちゃんの耳に入れておきたいことがあって」
食事のあと、コーヒーを飲みながら富田が切り出した。
「なんですか?」
「うん、まあ、大したことではないから気にし過ぎないようにな。実は、明日発売の週刊誌にこの記事が載る」
そう言って富田は、一枚の紙をテーブルに置いた。
どれどれ?と他の3人で覗き込む。
見出しには、
『サザンクロス 柏木 瞬
ひとり寂しいバレンタイン』
とあり、マンションのエントランスを入って行く瞬の写真も掲載されていた。
「なんだこれ?冴えない写真だなー。もっといい撮り方してくれよ」
瞬は愚痴をこぼしながら、記事にも目を通す。
そこには「バレンタインの夜に、一人寂しくコンビニでチョコを買う柏木 瞬。もはや別居状態か?どんなに張り込んでも妻の姿は確認出来ず」とあった。
「ははは!こんなのが記事になるなんて、今の芸能界にはよほどネタがないんでしょうか?」
「だろうな。事務所に『明日この記事載せますよ』って連絡来た時、俺も思わず笑っちゃったよ。どうぞーって」
すると紗季が身を乗り出す。
「でもこれで確証取れたわね。明日香がうちのマンションの地下駐車場から自宅に行き来してるのがバレてないって」
ああ、と富田も頷く。
「安心したよ。明日香ちゃんはまだ撮られてない。瞬の奥さんが誰なのか、週刊誌の記者でさえ未だに掴んでないんだってな」
「そうよね。作戦大成功!良かったわね、明日香」
話を振られて明日香はハッとしたように顔を上げた。
「どうかしたの?明日香」
「あ、いえ!えっと……、ちょっと珍しくて。この写真が」
「ん?これのどこが珍しいの?」
「えーっと、それは……。あっ、私、一度もマンションのエントランスから入ったことなくて。このパネル、どうやって使うのかなーと」
「あはは!そっか、そうよね。考えてみたらおかしな話よね」
「そうなんですよ。なんかスパイになった気分。あはは!」
明るく笑う明日香を見ながら、瞬は少し違和感を感じていた。
食事のあと、コーヒーを飲みながら富田が切り出した。
「なんですか?」
「うん、まあ、大したことではないから気にし過ぎないようにな。実は、明日発売の週刊誌にこの記事が載る」
そう言って富田は、一枚の紙をテーブルに置いた。
どれどれ?と他の3人で覗き込む。
見出しには、
『サザンクロス 柏木 瞬
ひとり寂しいバレンタイン』
とあり、マンションのエントランスを入って行く瞬の写真も掲載されていた。
「なんだこれ?冴えない写真だなー。もっといい撮り方してくれよ」
瞬は愚痴をこぼしながら、記事にも目を通す。
そこには「バレンタインの夜に、一人寂しくコンビニでチョコを買う柏木 瞬。もはや別居状態か?どんなに張り込んでも妻の姿は確認出来ず」とあった。
「ははは!こんなのが記事になるなんて、今の芸能界にはよほどネタがないんでしょうか?」
「だろうな。事務所に『明日この記事載せますよ』って連絡来た時、俺も思わず笑っちゃったよ。どうぞーって」
すると紗季が身を乗り出す。
「でもこれで確証取れたわね。明日香がうちのマンションの地下駐車場から自宅に行き来してるのがバレてないって」
ああ、と富田も頷く。
「安心したよ。明日香ちゃんはまだ撮られてない。瞬の奥さんが誰なのか、週刊誌の記者でさえ未だに掴んでないんだってな」
「そうよね。作戦大成功!良かったわね、明日香」
話を振られて明日香はハッとしたように顔を上げた。
「どうかしたの?明日香」
「あ、いえ!えっと……、ちょっと珍しくて。この写真が」
「ん?これのどこが珍しいの?」
「えーっと、それは……。あっ、私、一度もマンションのエントランスから入ったことなくて。このパネル、どうやって使うのかなーと」
「あはは!そっか、そうよね。考えてみたらおかしな話よね」
「そうなんですよ。なんかスパイになった気分。あはは!」
明るく笑う明日香を見ながら、瞬は少し違和感を感じていた。