Side Story 〜葉月まい 番外編集〜

「瞬くん、お風呂お先にありがとう。入ってきて」
「ああ」

自宅に戻ると、明日香は先にお風呂に入り、瞬が上がるのをコーヒーを淹れながら待つ。

ソファの前のローテーブルにコトッとカップを置き、静けさの中一人で座っていると、先程の週刊誌の記事が脳裏に蘇ってきた。

知らず知らずのうちに物思いにふけってしまい、しばらくしてから瞬に声をかけられてハッとする。

「明日香？どうした？」
「え？ううん、何もないよ」
「嘘つけ。なんかおかしい」
「そうかな？本当に何もないよ」
「じゃあ今、何を考えてた？」
「今？それは、えっと……」

明日香が言い淀むと、瞬は小さくため息をつき、ソファに座って明日香の両手を握った。

「明日香、ひょっとして週刊誌の記事を気にしてる？」
「ううん、そんなことない。だって富田さんも紗季さんも喜んでたでしょ？私のことがバレてないって。お二人が考えてくれた、向こうのマンションの地下駐車場からここに帰ってくるアイデアが功を奏してるって」
「ああ。けど明日香は何かひっかかってるんだろ？」

そういう訳じゃ……と視線を落とすと、瞬は明日香の顔を覗き込む。