Side Story 〜葉月まい 番外編集〜
月に一度は教会での演奏活動をしているが、今回も多くの人が集まってくれていた。
おじいちゃんと手を繋いでやって来たおばあちゃん。
小さな赤ちゃんを抱っこしたママ。
待ちきれない様子でお友達とクリスマスソングを歌っている子ども達。
美桜は教会に来てくれたたくさんの人達を前に、しっとりと美しくフルートを奏でる。
曲に合わせて自然と皆も歌い出し、綺麗な歌声とフルートとピアノの音色が厳かな教会に響き渡った。
(はあ、なんて幸せな瞬間かしら)
美桜はうっとりしながら演奏し、吹き終わると観客を見渡しながら互いに拍手を送る。
そして、フレディと一緒に作ったジンジャークッキーを配った。
Thank you ! と受け取った小さな女の子が、代わりに美桜に花束を渡してくれる。
美桜も笑顔でお礼を言った。
温かい紅茶が振る舞われ、皆でしばらくおしゃべりをしてから、美桜とメアリーは再び馬車に乗り今度は牧場へと向かう。
「トムじいさん、こんにちは!」
「美桜様、ようこそお越しくださいました。さ、どうぞ中へ」
丸太のコテージでココアを飲みながら、美桜はフェスティバルに関する資料をトムに見せた。
「今のところはこんな配置で屋台や催しを考えてるの。正面の奥にステージを設けて、そこで皆さんが自由に歌や演奏やダンスを披露してもらってもいいかなって。それから、ポスターのデザインはこんな感じでどう?開催日時が決まればここに大きく書いて」
「ほう、よろしいですね。私もなんだかわくわくしてきました。何よりも、あの競馬場がまた活気づくのが楽しみです」
「そうよね。地域の人達の憩いの場になればと思ってるの。早速競馬場の様子を見に行ってもいいですか?」
「ええ。すぐに馬を用意します」
トムが連れて来てくれたおとなしく少し小柄な馬に跨ると、メアリーが心配そうに見上げてきた。
「美桜様、ドレスですのに大丈夫ですか?」
「平気よ。あ、でもクレアには内緒ね」
ふふっと笑ってから、美桜は一気に馬を走らせ始める。
イギリスに来てから、時々アレンにここで乗馬を教わり、少しずつ美桜の腕前も上達していた。
丘を駆け上がると、真っ先に新しく取り換えられた門扉が見えてくる。
「わあ、とっても綺麗で立派な門扉ね。以前はゴーストタウンみたい雰囲気だったのに」
するとトムも隣に並んで門扉を見上げた。
「確かに以前は不気味な雰囲気でしたから、まずはここからと思って新しくしました。美桜様、中もご覧ください。手入れされて、随分明るくなりましたよ」
トムが開けた門扉の隙間から馬を進ませると、中央には青々と茂った芝生が広がり、階段状の観客席もピカピカに一新されていた。
「素敵!ここならみんなで楽しく過ごせるわね。これからもずっとここを使っていきたいわ。笑顔と笑い声が溢れる場所になるように」
「そうですね。私も出来る限りお手伝いいたします、美桜様」
「ありがとう、トムじいさん」
コテージに戻り、また少し打ち合わせをしていると、時刻は夕方の六時を過ぎた。
「美桜様、よろしければ夕食ここで召し上がりませんか?スープ・イン・ザ・ブレッドを作りますが」
「え、いいの?」
「もちろんです」
「やったー!じゃあ、私もお手伝いします。あ、メアリー。クレアとフレディに連絡してくれる?私の夕食はいらないって」
振り返ると、メアリーは心得たように頷いた。
「ええ。アレン様にもお伝えしますわ」
「ありがとう」
早速キッチンにトムと並び、美桜はシチューを作り始めた。
おじいちゃんと手を繋いでやって来たおばあちゃん。
小さな赤ちゃんを抱っこしたママ。
待ちきれない様子でお友達とクリスマスソングを歌っている子ども達。
美桜は教会に来てくれたたくさんの人達を前に、しっとりと美しくフルートを奏でる。
曲に合わせて自然と皆も歌い出し、綺麗な歌声とフルートとピアノの音色が厳かな教会に響き渡った。
(はあ、なんて幸せな瞬間かしら)
美桜はうっとりしながら演奏し、吹き終わると観客を見渡しながら互いに拍手を送る。
そして、フレディと一緒に作ったジンジャークッキーを配った。
Thank you ! と受け取った小さな女の子が、代わりに美桜に花束を渡してくれる。
美桜も笑顔でお礼を言った。
温かい紅茶が振る舞われ、皆でしばらくおしゃべりをしてから、美桜とメアリーは再び馬車に乗り今度は牧場へと向かう。
「トムじいさん、こんにちは!」
「美桜様、ようこそお越しくださいました。さ、どうぞ中へ」
丸太のコテージでココアを飲みながら、美桜はフェスティバルに関する資料をトムに見せた。
「今のところはこんな配置で屋台や催しを考えてるの。正面の奥にステージを設けて、そこで皆さんが自由に歌や演奏やダンスを披露してもらってもいいかなって。それから、ポスターのデザインはこんな感じでどう?開催日時が決まればここに大きく書いて」
「ほう、よろしいですね。私もなんだかわくわくしてきました。何よりも、あの競馬場がまた活気づくのが楽しみです」
「そうよね。地域の人達の憩いの場になればと思ってるの。早速競馬場の様子を見に行ってもいいですか?」
「ええ。すぐに馬を用意します」
トムが連れて来てくれたおとなしく少し小柄な馬に跨ると、メアリーが心配そうに見上げてきた。
「美桜様、ドレスですのに大丈夫ですか?」
「平気よ。あ、でもクレアには内緒ね」
ふふっと笑ってから、美桜は一気に馬を走らせ始める。
イギリスに来てから、時々アレンにここで乗馬を教わり、少しずつ美桜の腕前も上達していた。
丘を駆け上がると、真っ先に新しく取り換えられた門扉が見えてくる。
「わあ、とっても綺麗で立派な門扉ね。以前はゴーストタウンみたい雰囲気だったのに」
するとトムも隣に並んで門扉を見上げた。
「確かに以前は不気味な雰囲気でしたから、まずはここからと思って新しくしました。美桜様、中もご覧ください。手入れされて、随分明るくなりましたよ」
トムが開けた門扉の隙間から馬を進ませると、中央には青々と茂った芝生が広がり、階段状の観客席もピカピカに一新されていた。
「素敵!ここならみんなで楽しく過ごせるわね。これからもずっとここを使っていきたいわ。笑顔と笑い声が溢れる場所になるように」
「そうですね。私も出来る限りお手伝いいたします、美桜様」
「ありがとう、トムじいさん」
コテージに戻り、また少し打ち合わせをしていると、時刻は夕方の六時を過ぎた。
「美桜様、よろしければ夕食ここで召し上がりませんか?スープ・イン・ザ・ブレッドを作りますが」
「え、いいの?」
「もちろんです」
「やったー!じゃあ、私もお手伝いします。あ、メアリー。クレアとフレディに連絡してくれる?私の夕食はいらないって」
振り返ると、メアリーは心得たように頷いた。
「ええ。アレン様にもお伝えしますわ」
「ありがとう」
早速キッチンにトムと並び、美桜はシチューを作り始めた。