Lovers' melancholy【『WITH』番外続編】
廉の焦燥
* *
午後5時―――
終業を告げるチャイムが会社に鳴り響こうが、俺の仕事はまだまだ山積み。
いつになったら、仕事終わるんだ?
……なんて、少なからずイライラし始める頃、震えた携帯。
「……はい、」
「もしもし…?」
表示された名前は、間違いなく“紗和”だったハズなのに……
聞こえてきた声は、男のモノ。
……誰だ?
「はぁ?誰だよ……」
「ハハッ!スッゲー不機嫌だね?紗和ちゃんじゃなくて、ガッカリした?」
けらけらと笑う電話の向こうの声に、聞き覚えがあって……
自分の口許が、ヒクヒクと怒りで震えるのがわかった。