Lovers' melancholy【『WITH』番外続編】
晴哉の思惑[2]
* *
目の前で、廉との電話を楽しそうに話す紗和ちゃんを眺めていて。
やっぱり、俺の出る幕はもう無いことを思い知らされる。
あーあ…、最後くらい意地悪してやろーかと思ってたのに。
結局、“イイ人”演じちゃってるし?
まぁ…、きっともう、これで最後のハズだし。
最後くらい、笑顔見せてほしいってことで……いいか?
「……晴哉?なんで、廉に電話したの?」
「んー…?なんで、だろーね?」
電話を終わらせたらしい紗和ちゃんは、明らかにさっきより明るい表情になっていて。
紗和ちゃんにとっての、廉の威力はスゴイよなー…
全然、敵わないじゃん?
紗和ちゃんの問いには答えず、
サラリ…とかわして。
「んじゃ、紗和ちゃんの充電も完了したことだし、帰りますか…!!」
何か言いたそうな紗和ちゃんを残し……
オレは伝票を持って立ち上がると、出口へと向かって歩き出した。