Lovers' melancholy【『WITH』番外続編】
支払いを済ませていると、突然、コートを引っ張られて。
オレは、視線を背後へと向けるために振り返った。
「紗和ちゃん…?どうしたの?」
「ちょっと、待って!
……話、終わってないよ?」
彼女がオレを見上げる姿さえ、未だ胸を鷲掴まれるほど愛しいままなのに。
……もう、触れられない。
それなら、放っといてくれた方が楽なのに―――
なんて、紗和ちゃんに悪気があるわけじゃないことは、わかってる。
話も聞かないで、逃げてきたオレが悪いんだけど……
「んじゃ、歩きながら…ね?」
心の中で、溜息を吐いて。
オレは紗和ちゃんが頷くのを確認してから、ファミレスをあとにした。