Lovers' melancholy【『WITH』番外続編】


* *




「ねぇ、なんで……廉に電話したの?」




夜闇に包まれた雑踏の中を、
着かず離れず……


オレの隣を追い掛けるようにして早足で歩く紗和ちゃんは、首を傾げてオレを見上げている。


イチイチ、オレのツボを刺激するような仕草が、少しだけ疎ましく感じてしまうのは……


やっぱり、紗和ちゃん以上に思える女が現れてくれないから……なんだろうな?


自分自身に呆れつつ、彼女の歩調に合わせる為に、速度を落として歩くことにして、どう返答するか考えた。




「それは……、」




ぶっちゃけ、最初は意地悪でもしようなんて考えてたんだから、大した理由なんて無い。


夜になって、ここぞとばかりにキラメキを放つクリスマスのイルミネーションを遠目に見ながら、




「廉に電話したのは、紗和ちゃんへの……少し早い、オレからの最初で最後のクリスマスプレゼントだよ」




そう、口にしていた。



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