Lovers' melancholy【『WITH』番外続編】

「言うから、帰らないで？」




やっと会えたんだから、こんなことで喧嘩なんかしたくないのに……


廉のコートをギュッと握って、緩みそうになる涙腺を必死に堪えていたら、




「紗和……、ゴメン、言い過ぎた」




切なさで苦しくなりそうなほどに優しい、廉の声が響いた。




「ううん、大丈夫。……何聞いても、怒らない？」


「……ん、」


「帰り際に、キス…されたの。
……ごめんなさい」


「何もするなって忠告したのに、アイツ……」




またもや、はぁー…っと盛大な溜息を吐かれて、私は俯いてしまう。


やっぱり、怒ってる……？