Lovers' melancholy【『WITH』番外続編】
* *
「あ、廉先輩、お疲れ様です」
「……お疲れ」
取引先を回り、夕方。
会社に戻り上司に報告を済ませたあと、出迎えたのは律。
同じ部署の後輩でもある律は、隣のデスクに座っていて。
返事をしつつ、自分のデスクに座った俺は、またもや溜息を吐いていた。
「人の顔見て溜息吐くの、やめてくれません?」
苦笑しながらそう言った律に、俺はパソコンを起動させながらハハッと乾いた笑いを返した。
「悪い。……律見ると、紗和思い出してさ?お前ら、似すぎ……」
「あー…、まぁ姉弟ですから、似てるかも?つーか、先輩、重症っすね?」
憎らしいくらいに可笑しそうに笑った律に、俺は眉をひそめてしまったけど。
あえて何も言わず、見なかったことにした。