The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
オルタンス殿との面会を済ませた後。

俺とセトナ様は、その足で『彼ら』のもとを訪ねた。





「…ふぅ…」

厳つい顔をした黒服の男性が、応接間に案内してくれた。

…これから会う人のことを思うと、緊張もする。

ある意味で、帝国騎士団長より緊張する。

ヴァルタ曰く、「面白い男だった」とのことだが…。

一般的に、ヴァルタの感覚で「面白い」は…大概、「恐ろしい」だと思うのだが…。

一体、どんな人なんだろうな。

ドキドキしながら待っていると。

「ね、ルルシー…。実は今日、新しい香水つけてるんですよ。気づきました?」

「あ?うん…。いつもよりエロいな」

「でしょう?うっかり押し倒してくれても良いんですよ?」

「断る」

「分かりました。じゃあ俺が押し倒しますね」

「そういう意味じゃない!」

「…!?」

部屋に入ってきたのは、若い男性二人組だった。

一人は、至って普通の…親しみやすそうな青年だったが。

問題は、もう一人の方。

青年の腕をぎゅっと抱いて、上目遣いでうっとりと見つめるその顔には、綺麗に化粧が施されていた。

…男性が化粧しているの、初めて見た。

おまけに、その人は全身真っ黒の衣装に身を包み、妖艶な香水の香りを漂わせていた。

極めつけは、彼が全身から発する、ムッとするような濃厚なフェロモン。

俺は男なのに、気を抜くとくらりとしてしまいそうだった。

まるで、異世界の住人だ。

綺麗を通り越して、怖い。

こ、この人が…『青薔薇連合会』幹部、ルレイア・ティシェリー。
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