The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…事件が起きたのは、ルレイアが出張に行ったその日のこと。




俺の部下であるルヴィアが、暗い顔をして俺の執務室を訪ねてきた。

「ルヴィア…どうかしたのか?」

「ルルシーさん…。実は先程、部下から報告を受けたんですが」

「うん?」

「ネイルスが、先週から行方不明だそうです」

この報告に、俺は驚いてしまった。

…何だって?

ネイルスというのは、俺の派閥にいる部下の一人である。

ルヴィアより一つ年下のネイルスは、俺の派閥では数少ない女性である。

女性が俺の派閥にいるなんて、大丈夫なのか?と思われた人もいるだろうが。

こういう言い方はしたくないが、実は彼女は顔があまり整っている方ではないので、ルレイアの毒牙に脅かされることはない。

顔はアレでも、仕事に抜かりはない優秀な部下なので、俺としては重宝している。

…そのネイルスが、行方不明だって?

「何でそんなことになってるんだ?」

「…分かりません。同僚の話によると…先週の木曜日までは特に変わった様子もなく…午後七時にいつも通り退勤したそうです。しかし、翌日から連絡が途絶えて…」

「自宅には?」

「…もぬけの殻だったそうです。荒らされた様子はなかったようですが…。携帯も通じませんし、行方も全く分からなくて…」

「…」

それは…気になるな。

夜逃げなんて、マフィアでは珍しくはないけど。

でもネイルスに…そんなことをする理由があるのか?

「…ネイルスの捜索を進めてくれ。それと…彼女の身辺調査も」

「分かりました」

このまま、放っておく訳にはいかない。

何かの事件に巻き込まれた可能性もあるし…。夜逃げだとしても、『青薔薇連合会』の内部事情について知っている人間を、みすみす表社会に逃がす訳にはいかない。

ルヴィアからこの話を聞いたときから…俺は、妙な胸騒ぎを覚えていた。
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