The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideアイズレンシア

───────…部下の一人が、血相を変えてノックもせずに私の部屋に飛び込んできたのは、日付が変わってすぐのことだった。



「ルルシーが、自分の部下に刺された、ですって?」

私とアリューシャ、それからシュノが集まってすぐ、騒ぎを聞き付けたアシュトーリアさんが、険しい顔つきでやって来た。

「はい、アシュトーリアさん」

「容態は?」

「傷は…それほど深くないそうです」

幸いなことに、ナイフは内臓に達していなかったし…太い血管を傷つけてもいない。

しかし。

「ただ…ナイフに毒が塗られていたようで…。致死性のものではなく、身体を痺れさせて動きを止める為の毒のようですが…そのせいで、回復には少し時間がかかるそうです」

ルルシーを担当した、『青薔薇連合会』の専属医がそう言っていた。

「そう…命は無事なのね?」

「はい。まだ意識は戻っていませんが…容態は安定していると」

恐らく、明日か…明後日くらいには目を覚ますことだろう。

傷口が深くなかったのは、不幸中の幸いだった。

「良かったわ。…それで、ルルシーを刺した部下というのは?」

「ルルシーに撃たれて怪我は負っていますが、こちらも生きています。ただ…尋問は不可能です」

「不可能?」

先程…自分の目で確かめてきた。

ルルシーを刺した女だ。拷問でも何でもして、何処に雇われたのか絶対に聞き出してやるつもりだった。

しかし…彼女を一目見た瞬間に、それは無理だと悟った。
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