The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
週一で開かれる、帝国騎士団体調会議の後。

会議室を出ようとしたところを、ある男に止められた。

「アドルファス、リーヴァ…。それとルーシッド。悪いが、少し残ってくれないか」

「…あ?」

帰ろうとしていた俺達を呼び止めたのは、帝国騎士団長のオルタンス。

上司に止められては、無視して帰る訳にもいかなかった。

「何だよ?」

「話があるんだ」

「…話?」

俺とリーヴァ、それからルーシッドの三人だけを残して話し合い、ってのもおかしな話だ。

話があるなら、会議中に言えば良いものを。

会議の後に、わざわざ俺達三人だけを名指しで呼び止めるなんて、絶対ろくでもないことに違いない。

「何の話でしょうか。オルタンス殿…」

ルーシッドは生真面目な顔をして、オルタンスに問うた。

奴の後釜として四番隊に就いた彼を、役不足とまでは言わないが…。まぁ、奴と比べると、悲しいくらい見劣りしてしまう男である。

逃がした魚は大きかったということだ。今更言っても仕方ないがな。

「あぁ…。実はお前達に、相談があるんだ」

「…相談?」

いつになく神妙な顔をしたオルタンスに、ルーシッドは眉をひそめた。

きっととんでもなく重要で、判断に慎重を要する相談を持ちかけられるものと思っているのだろう。

リーヴァも根が真面目である為、ルーシッドと同様真剣そのものであったが。

俺の経験則から言うと…これは。

「何でしょう、オルタンス殿…」

「あぁ…。実は、ホワイトデーに何を送れば良いのか、相談しようと思って」

「…」

「…」

「…はぁっ…」

…絶対、そんなことだろうと思った。

ある意味、平和で何よりである。
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