The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
一つ、深呼吸をした。

「ルレイア…。悪いね。忙しいところ」

まずは…挨拶から入ろう。

『別に忙しくないですよ。一日二人のノルマはちゃ~んと達成してますし。今日なんか、時間が余ったので三人目も落としました』

一体何の話かは分からないけど、既に充分恐ろしい。

多分、またルレイア・ハーレムの会員が増えたんだろう。

「ルレイア…。実は今、ここに…アリューシャとシュノもいて、一緒に聞いてるんだけどね」

『え、そうなんですか~?やっほー、シュノさん。やっほー、アリューシャ』

「や、やっほー…ルレイア…」

朗らかに挨拶されて、シュノはなんとか返事をしていたが。

「やっ…やへほっ…ルレ公…」

アリューシャは、噛んでいた。

気持ちは分かるが、動揺し過ぎでは?

『あっ、じゃあもしかして…俺の愛しいお嫁さんも一緒にいるんですか?』

ルレイアはうきうきと声を弾ませた。

私は思わず、身体が震えてしまいそうになった。

ルレイアの言わんとする人が誰なのかは、言うまでもない。

私達幹部組が揃ってるということは、ルルシーもこの場にいるのだろうと…ルレイアは思ったのだろう。

だが…残念ながら。

「…ルルシーは、ここにはいないよ。ルレイア」

『…?いないんですか?』

「うん…いないんだ」

『…』

電話越しに、私達が酷く緊張していることを察したのだろう。

ルレイアの沈黙が、物凄く怖かった。

『…俺のルルシーは、何処にいるんですか?』

先程までの軽快さが嘘のように、ルレイアの声が低くなった。

…電話越しでこれなのだから、本人が目の前にいたら…。

…アリューシャなんて、卒倒してるんじゃないだろうか。

言いたくない。言いたくないんだけど。

でも…言わなくては。

出来るだけ…ルレイアを刺激しないように。

「…あのね、ルレイア…落ち着いて聞いて欲しいんだけど」

『俺はいつだって落ち着いてますよ?』

そうだね。

私は生唾を飲み込み、深呼吸をして…そして、言った。

「…ルルシーが、部下に刺された」

この瞬間の、ルレイアの豹変ぶりを。

私は、一生忘れないだろう。
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