The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

──────…アイズレンシアはそのとき、電話の向こうで俺の剣幕にびびっていたそうだが。

この場にいなくて正解だった。もし彼らがここにいたら…全員のトラウマになっていたことだろう。

…アイズからの連絡を聞いて、俺は一瞬でぶちギレた。

その場で横にはべっていた風俗嬢三人が、全員声もなく凍りつくくらいには、激しい剣幕だったと思う。

全く動揺していないのは、俺の下僕のエリュシアだけだ。

さすがによく躾が行き届いているだけのことはある。

魂を吐き出すような深呼吸を、二回、三回としてから。

俺は、アイズに尋ねた。

「…ルルシーをやった愚か者は誰です」

『そ、それが…実行犯はルルシーの部下だったんだけど、その人、薬物で洗脳されてて…長くないとおも、』

「じゃあ裏で手引きしたのは?」

『…確証は持てないけど…使われていた薬物の種類から推測すると、恐らく…箱庭帝国が絡んでるんじゃないかと』

「…成程」

箱庭帝国…箱庭帝国ね。

俺に迷惑をかけなきゃ気が済まない連中のようだな。あの屑共は。

「…それで俺は…好きに動いて良いんですよね?」

『…アシュトーリアさんから許可が降りてるよ。首輪を外してあげるからお好きに、って』

「賢明な判断ですね…」

もし、駄目だと言われたら。

大人しくしてろなんて、そんな悠長なことを言われたら。

俺は今すぐアシュトーリアさんを殺していたかもしれない。

この状況で、俺に「大人しくしてろ」は通用しない。

大人しくなんて…誰がしててやるものか。

「宜しい。では…現状分かっていること全てをメールにして送ってください。新たに分かったことはその都度俺に報告を」

『…分かった。言っても聞かないとは思うけど…程々にね、ルレイア』

勿論、言っても聞かないけどな。俺は。

ぶちっ、と通話を切って…俺は再度、深く深呼吸した。

「…はぁぁ…」

…俺のルルシーを、傷つけてくれた訳か。

あの、糞、野郎、共め。

「…死ぬくらいで償えると思うなよ」

出張任務は、放棄だ。

俺は真っ黒のコートを掴んで、立ち上がった。

今俺の前に立ち塞がろうとする者は、容赦なく、全員薙ぎ倒してやる。
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