The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルアリス

───────…一方、その頃。

『青薔薇連合会』同様、革命軍『青薔薇解放戦線』もまた、修羅場を迎えていた。






「何だって?ティターニア家の使用人が襲われた…!?」

「あぁ…」

フランベルジュ殿は、苦しげな表情で頷いた。

…なんてことだ。

「他にも…帝都では、帝国騎士やその家族を狙った犯罪被害が複数起きているそうだ」

「…」

背筋が冷たくなる思いだった。

…これは…恐らく。いや…間違いなく。

憲兵局の…仕業だろう。

「憲兵局の、秘密部隊でしょう」

憲兵局の中でも、秘密部隊は主に…他国に潜入しての諜報活動や、暗殺を担当している。

彼らが来ているのだ。このルティス帝国に。

革命軍に協力するティターニア家の人間や、帝国騎士団を攻撃して…俺達に協力するのをやめさせようとしている。

「…申し訳ありません、フランベルジュ殿…」

謝っても、人の命は返ってこない。

分かっているが、でも謝らずにはいられなかった。

これ以上フランベルジュ殿や、帝国騎士団に迷惑をかけたくはない。

だが俺達は、彼らの厄介になる他…生きていく術がない。

俺達がここで撤退してしまえば、憲兵局の思う壺なのだ。

「大丈夫だ、ルアリス。分かっている…。うちで働いてくれている者は、全員俺の志に同意してくれている。覚悟は…出来ているはずだ」

フランベルジュ殿は、俺を慰める為にそう言ってくれた。

…覚悟は出来ていると言っても。

でも…その使用人にも、家族がいたんだろうに。

俺達のせいで…彼らに酷なことを強いてしまった。

それに…帝国騎士の方にも。

ルーシッド殿と話さなくては。

「…状況は最悪じゃな、ルアリス」

「…ミルミル」

ミルミルは腕を組んで、難しい顔をしていた。

「憲兵局が秘密部隊を動かしてきたということは…やはり、我らの講和勧告を受けるつもりはないということじゃ」

「…そうだな」

あれから、憲兵局の返事は全く受け取っていない。

これが…返事の代わりということなのだろう。

分かっていたことではあるが…やはり、ショックは隠せない。

平和的に事を解決出来れば、それに越したことはなかったのに。

「仕方ないわ、ルアリス…。ここで講和を呑むような連中だったら、ハナから革命なんて起こす必要はなかったわよ」

ラシュナが、そう言って俺を励ました。

…そうだな。

「…分かった。今後の動きについて、フランベルジュ殿と、それからルーシッド殿も交えて…」

話し合いを…と、言おうとした、そのとき。
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