The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
全身、黒ずくめの衣装。
コートもスラックスもブーツも全部真っ黒で、対照的に胸についている薔薇のブローチだけが青かった。
それだけじゃない。
両手に持った剣の先からは、赤い血が滴っていた。
黒いコートに、赤い血の滴る剣を持つその姿は、正しく死神であった。
たった一人のこの死神を相手にするより、憲兵局の秘密部隊数万人を相手にする方が、まだ希望が持てた。
一目見ただけで…俺はどうやっても、どう足掻いても、この人に傷の一つも負わせることは出来ないと悟った。
そもそも、身体が動かなかった。
殺気立った死神の、鋭い眼光に睨まれ…銅像のように身体が固まってしまったのだ。
この場にいたミルミルや、ラシュナ、フランベルジュ殿も同様だった。
襲撃規模は、たった一人。
でもそのたった一人に、俺達は文字通り手も足も出せなかった。
殺される。そう思った。
「…ルアリス・ドール・エーレンフェルト」
死神が、低い声で俺の名前を呼んだ。
足がすくんだ。今すぐにでも逃げ出せたらと思うけれど、でも、やっぱり動けなかった。
剣に滴る血を振るい、彼は俺につかつかと歩み寄った。
その白い手が、俺の首をがっちりと掴み、締め上げた。
「うっ…ぐ…」
それだけで人を殺せそうなほど鋭い眼光に睨まれ、窒息寸前まで首を締め上げられながら、俺は彼の顔を見下ろした。
そのときになって俺は初めて、その人が見覚えのある人間だということに気がついた。
この人…この人は、確か…『青薔薇連合会』の…。
コートもスラックスもブーツも全部真っ黒で、対照的に胸についている薔薇のブローチだけが青かった。
それだけじゃない。
両手に持った剣の先からは、赤い血が滴っていた。
黒いコートに、赤い血の滴る剣を持つその姿は、正しく死神であった。
たった一人のこの死神を相手にするより、憲兵局の秘密部隊数万人を相手にする方が、まだ希望が持てた。
一目見ただけで…俺はどうやっても、どう足掻いても、この人に傷の一つも負わせることは出来ないと悟った。
そもそも、身体が動かなかった。
殺気立った死神の、鋭い眼光に睨まれ…銅像のように身体が固まってしまったのだ。
この場にいたミルミルや、ラシュナ、フランベルジュ殿も同様だった。
襲撃規模は、たった一人。
でもそのたった一人に、俺達は文字通り手も足も出せなかった。
殺される。そう思った。
「…ルアリス・ドール・エーレンフェルト」
死神が、低い声で俺の名前を呼んだ。
足がすくんだ。今すぐにでも逃げ出せたらと思うけれど、でも、やっぱり動けなかった。
剣に滴る血を振るい、彼は俺につかつかと歩み寄った。
その白い手が、俺の首をがっちりと掴み、締め上げた。
「うっ…ぐ…」
それだけで人を殺せそうなほど鋭い眼光に睨まれ、窒息寸前まで首を締め上げられながら、俺は彼の顔を見下ろした。
そのときになって俺は初めて、その人が見覚えのある人間だということに気がついた。
この人…この人は、確か…『青薔薇連合会』の…。