The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「『青薔薇解放戦線』側にも…被害が出てる。箱庭帝国の、憲兵局秘密部隊が…ルティス帝国に入ってきてるんだと思う」

「…憲兵局だと?」

「講和を申し込んだんだ。でも…返事が来ない。憲兵局は、革命軍に協力する人を攻撃して、俺達を厄介者だと思わせようとしてるんじゃないかと…」

「…」

ルレイア殿は俺を睨み、それから…首を掴む手を離して、俺を床に放り投げた。

ようやく息苦しさから解放されて、俺は何度も咳き込んだ。

「…言葉を間違えなくて良かったですね。殺されずに済みましたよ」

俺を見下ろすルレイア殿の目は、氷のように冷たかった。

…本当に殺されるところだった。

言葉を一つ間違えていたら…今頃。

ルレイア殿は剣を鞘に収めた。そこに。

「ルレイア…やっと追い付いた」

ルレイア殿の後ろから、彼を追うように走ってきた者が男女が一人ずつ。

彼らには、見覚えがなかった。

でもルレイア殿の名前を呼び捨てにしていたということは…彼の仲間なのだろう。

気は抜けない。ルレイア殿の言う通り、彼が望めば俺達はおしまいなのだ。

「大丈夫、ルレイア?怪我してない?」

「怪我なんてしませんよ、シュノさん。こんな、訓練もされてない猿の群れ相手に。それより…アリューシャは?来てるんですか」

「来てるよ。ただ…彼が狙撃ポイントにつく前に、君が全員薙ぎ倒して行っちゃったけどね」

「そうですか」

三人の不吉な会話を聞きながら、彼がここに来るまでに、一体何人が薙ぎ倒されたのだろうと考えて、戦慄した。

「さて…それでは詳しいお話を聞かせてもらいましょうか。ルアリス・エーレンフェルト。話次第では、あなたの命はありませんよ」

「…はい」

命の危険は…まだ去ったとは言えないが。

ひとまず、ルレイア殿の怒りを多少なりとも鎮められたことを喜ぼう。
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