The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
更に、ルレイア殿の舌鋒は続く。

「大体あなた、おかしいとは思わないんですか?あなたは自国の民を助ける為に、よその国の人間に迷惑をかけ、その上犠牲まで出しておいて、自分は被害者面ですか。あなた方が自分の国で大人しくしてれば、ルティス帝国は平穏なままだったんですよ」

「…」

「人を助ける為に人を殺す。大した英雄様ですね、あなたは。そういう人間を何て言うのか知ってます?…偽善者って言うんですよ」

ルレイア殿の言葉が、胸に突き刺さるようだった。

彼の言う通りだ。何も言い返せない。

分かっていたけど…分かっていたような気になっていた。

俺は…箱庭帝国の民を救う為と意気込んでおきながら、その為にルティス帝国の人々を苦しめているのだ。

これで英雄になりたいなどと…。

「正義という大義名分のもとに人を殺す。その点ではあなたのやっていることは、憲兵局と何ら変わりがない。分かりますね?」

「…はい。その通りですね」

ミルミルもラシュナも、唇を噛み締めて俯いていた。

ルレイア殿に何も言い返せない自分が、情けなくて仕方ない。

「巻き込まれる俺達には良い迷惑ですよ。自分の国の問題なんだから、自分の国で解決すれば良いものを、わざわざ平和な国を争いに巻き込むなんて…」

「…その辺にしておこうよ、ルレイア」

ルレイア殿の更なる舌鋒を、諌めたのは彼の幹部仲間であった。

「彼らにも、そうせざるを得ない事情があったんだってことは理解してあげよう。それに…殺人の罪について、私達が語るのは図々しいというものだよ」

「…確かに、そうですね」

同僚に諌められ、ルレイア殿は溜め息をついた。

しかし、俺を許した訳ではない。

「改めて確認しましょう。ルルシーに手を出したのはあなた方『青薔薇解放戦線』ではない。そう言いましたね?」

「はい。俺達は『青薔薇連合会』と敵対することを望みませんから…」

誰が、こんな人達を敵に回したいと思うだろう。

憲兵局より恐ろしいくらいだ。

だから、ここは平和的にお引き取り願って…。

「宜しい。ではこれより『青薔薇連合会』は、革命軍『青薔薇解放戦線』と共闘協定を結び、あなた方と一緒に戦ってあげましょう」

「…………………………は?」

あまりに突然の宣言に、俺は思わず、間抜けな声を出してしまった。





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