The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…それで?お返しをするって?」

絶句しているルーシッドの代わりに、俺がオルタンスに尋ねた。

「あぁ、そうだ」

「デスソース仕込まれた癖に、ホワイトデーのお返しをしようとすること自体は、もう何も言わない…。お前は馬鹿だからな」

あんなに嬉しくルレイアのデスソースチョコを食ったんだから、お礼でも何でもすれば良い。

心底馬鹿だとは思うけどな。

「それで、何で俺達を巻き込む?」

お返ししたいなら、自分で勝手にやれ。

何故、俺達を巻き込む。関係ないだろうが。

「何を送れば良いのか、分からないんだ」

「…」

…あぁ。さっき言ってたねそんなこと。

「だから相談しようと思ってな」

「…」

…こんなアホな上司に付き合わされる。なんとも素敵な職場である。

ルレイアが嘲笑う姿が見えるようだ。

「…俺とリーヴァを巻き込むのはまだ分かる…」

バレンタインの日に、既に巻き込まれていたからな。

だが。

「ルーシッドを呼んだのは何でだ」

「ルレイアと年齢が近いからだ。最近の若者がどんなものを好むのか、参考にしようと思ってな」

あぁ、そういうことか。

ルーシッドにとっては、良い迷惑だな。

「何が良いと思う?」

「…」

くっ…そ下らない、どうでも良い質問である。

知るか!!と怒鳴り付けて帰りたいところであるが、こんな馬鹿でも一応上司なので、そういう訳にもいかない。

せめてさっさと話を済ませてしまおう。

「ホワイトデーの定番と言えば…マシュマロとか…クッキー辺りか…?」

と、真面目に答えるリーヴァ。

「以前ルシファー殿は…随分な甘党だったことだし」

「今もなのか…?今はそうでもないんじゃねぇの」

以前の奴は、フレンチトーストだの金平糖だの、砂糖の塊のような菓子をばくばく食っていたものだが。

今はどうなのか。

「やはり食べ物の方が良いんだろうか。彼はいつも化粧をしているから、化粧道具を送ろうかとも思ったんだが」

「やめとけよ…。多分奴のこだわりがあるぞ」

化粧道具はさておき、普段使ってるものをプレゼントするのは難しいぞ。

毎日使うものだから、特にな。

「そうか…。じゃあ何が良いだろう。最近の若者はどんなものを欲しがるんだ?ルーシッド」

「え?えっと…」

そこでルーシッドに話を振るのか。最低だなお前は。
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