The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ルルシーさんが夜襲を受けてから、三日がたったが。

まだ、ルルシーさんは目を覚まさない。

部下として、早く目を覚まして欲しいとは思うが。

でもルルシーさんにとっては、このままもう少し目を覚まさずにいる方が幸せなのではないかと思う。

だって起きたら、色んな現実に直面しなきゃならなくなるだろう?

ルルシーさんが夜襲を受けてから今日に至るまでに、変わったことと言えば…ルルシーさんを刺した犯人が、昨夜衰弱死したってことと。

それからもう一つ。

ぶちギレたルレイアさんが…箱庭帝国の憲兵局と、戦争をおっ始めようとしていること。

これについては…ルルシーさんも穏やかではいられないだろうな。

ルルシーさんはきっと、ルレイアさんに復讐なんてしてもらいたくないはずだ。

でも…ルレイアさんは止まらない。

元々、この世でルレイアさんを止めることが出来るのはルルシーさん一人だけだったのだ。

そのルルシーさんが倒れては、最早ルレイアさんを止める人はいない。

彼の前に立ち塞がる者は、誰であっても蹴散らされることだろう。

だからって…よその国の革命に、首を突っ込むこともないだろうに。

目を覚まして…ルレイアさんの暴走ぶりを知ったら、ルルシーさん…どんな反応をするかな。

そこまで考えて、俺はふっと自嘲した。

…以前の俺だったら、箱庭帝国と戦うことに躊躇いを覚えたりはしなかっただろうに。

上司を傷つけられた恨みを返してやるとばかりに、武者震いさえしていたはずだ。

それなのに今は、平和が一番なのにな…なんて考えてしまっている。

俺も甘くなってしまったものだな。

でも、この変化を…疎ましいとは思わない。

…最近、全然家に帰れてない。心配してるだろうな…。

「…」

俺は、目を閉じたままのルルシーさんを見つめた。

…それにしても、ルルシーさん…いつ頃起きるのだろうな。

俺の身の安全の為には、早めに起きて欲しいところだ。

というのも、ルレイアさんがティターニア家に乗り込む前…俺に連絡を寄越したのだ。

「俺が戻るまで、決してルルシーの傍を離れるな。ルルシーに危害を加える者は全員殺せ」と。

これだけならまだしも、ついでにもう一文。

「もしルルシーに万一のことがあったら、お前の命もない」とのこと。

つまり俺はこの場を離れると、帰ってきたルレイアさんにめった刺しにされる訳だ。

だが、俺以上に悲惨なのはここの医療スタッフだ。

「もしルルシーを死なせたらお前達も殺す」と脅されたらしく、全員半狂乱でルルシーさんの看護をしていた。

さすがはルレイアさんである。

これ以上、俺と彼らの胃を苦しめる訳にはいかないから。

…早く目を覚まして欲しい。



…と、思っていると。

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