The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…ん…」

「…?」

固く閉じられていたルルシーさんの瞼が、僅かに震えたような気がした。

気のせいか…?と思ったが。

次の瞬間、ルルシーさんはゆっくりと目を開けた。

「…!」

今ここに、医療スタッフ一同がいたら。

全員、諸手を上げて大喜びしたことだろう。

「う…」

数日間眠っていた身には、窓から漏れてくる光さえ眩しいのだろう。ルルシーさんは目を細めていた。

俺は慌てて立ち上がり、カーテンを閉めた。

「ルルシーさん…大丈夫ですか?聞こえますか?」

声をかけると、ルルシーさんはゆっくりと視線をこちらに動かした。

「…ル…レイア…」

朦朧としているであろう意識の中で、ルルシーさんが最初に呼んだのは、彼の一番の親友の名前だった。

「ルレイア…は…」

「ルルシーさん…。ルレイアさんは今ここにはいません」

俺はルルシーさんを刺激しないよう、出来るだけ優しくそう伝えた。

ルレイアさんは今…『青薔薇解放戦線』の拠点になっているという、帝都から離れたティターニア家に行っているはずだ。

いつ頃戻ってくるのかは分からないが…。

「ルレイアを…ルレイアを、呼んできてくれ、ルヴィア…。俺が、あいつを止めないと…」

「…ルルシーさん…」

ルレイアさんを止められるのは自分だけだと、ルルシーさんも分かっているのだ。

だが…残念ながら、もう止めるには遅過ぎる。

「ルルシーさん、まずは自分の身体のことを…。医者を呼んできますから…」

何よりまず、優先すべきはルルシーさんの身体のこと。

俺はそう思って、ナースコールを押そうとした。

しかし、ルルシーさんがそれを遮った。

「俺のことは良い…。ルヴィア、今…どうなってるんだ…?ルレイアは…。『青薔薇連合会』は…」

「…」

…そこまでして。

目を覚ましたばかりのルルシーさんに…こんな話はしたくなかった。

でも…聞かれたからには、言わない訳にはいかない。

恐らく…ルルシーさんが一番恐れていたであろう事態に、陥ってしまっていることを。
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