The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
すると。

「フューニャ…!」

私に駆け寄ったルヴィアさんは、もういつものルヴィアさんに戻っていた。

「わ、私…」

拳銃を握り締めたまま震える私に、ルヴィアさんは出来るだけ優しく、そっと話しかけた。

「大丈夫だ、フューニャ。俺が守ってやるから…。だから安心して、それを離すんだ。危ないからな」

私を怯えさせないようにだろう、ルヴィアさんは優しく微笑んで、私の手からそっと拳銃を抜き取った。

「こんなものを、お前に持たせてしまった…。本当に済まなかった」

…何で?

何で、ルヴィアさんが謝る?

彼は、何も悪くなんてないのに。

悪いのは…悪いのは、彼をずっと騙していた、私の方だ。

「私…私は…」

「もう大丈夫だ。怖い思いをさせて悪かった」

ルヴィアさんは、優しく私の髪を撫でてくれた。

途端に、私は命の危機が去ったことを実感した。

ルヴィアさんが、助けに来てくれた。

もう大丈夫だ。

安心すると、涙が出そうになった。

しかし、泣く前に、思い出したように腕の傷が痛んだ。

「っ…」

「フューニャ…!傷は!?大丈夫か?」

「だ…大丈夫です」

「良いから、見せてみろ」

ルヴィアさんはそっと私の腕を取り、傷口を確かめた。

幸い、それほど…深い傷でもないが。

それなのに、ルヴィアさんは私の傷を見て、怒りに身体を震わせていた。

「…くそっ、こいつ、絶対に許さない…」

「そんな…大袈裟な」

「大袈裟なもんか。俺が…もっと警戒していれば」

…ルヴィアさんは、激しく自分を責めているようだった。

私が…私が不注意だっただけなのに。

それなのに…どうして彼が自分を責めているのか。

「すぐにうちの系列の病院に連れてってやるから…大丈夫だからな、フューニャ」

ルヴィアさんはてきぱきと応急手当をしながら、私を安心させるようにそう言った。

「はい…」

こんなときだというのに…それでも、私は彼が助けに来てくれたことが嬉しかった。

自分は安全なんだ、と思うことが出来た。

この期に及んで、また自分が助かることだけを考えている自分に気づいて、私は背筋が冷たくなった。
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