The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
幸いなことに。

私の腕の傷は、大したことはなかった。

見た目ほど深い傷ではないし、細い血管しか切れていないので、しばらく大人しくしていればすぐ治る、とお医者様は言ったのだが。

ルヴィアさんが、絞め殺さんばかりにお医者様を脅したので、随分過保護な手当てをされる羽目になった。

おまけに、ルヴィアさんの申し訳なさそうなことと言ったら、目も当てられないほどだった。

ルヴィアさんは、心配そうに私に尋ねた。

「フューニャ…。大丈夫か?痛むか?」

「もう平気です」

小さな子供ではないのだから…。そこまで過保護にすることはないのに。

「済まなかった、フューニャ…。ごめん」

「何回謝ってるんですか…。あなたは何も悪くないでしょう」

「いや…俺の危機管理が甘かったせいだ。フューニャをみすみす危険に晒して、怖い思いを、痛い思いをさせてしまった…。ごめんな、フューニャ」

…そんなに、謝らないで欲しい。

謝らなければならないのは…私の方なのだから。

それなのにルヴィアさんは…自分を責めて、必死に私に謝っている。

…この人は、全く…なんて優しい人なんだろうな。

ミルミルの言う通りだ。私はこの人を…私のせいで傷つけたくはない。

これ以上…騙し続けている訳にはいかない。

私のせいで…彼に迷惑をかける訳には、いかない。

愛しているからこそ…愛しているが故に。

…もう、終わりにしなくては。

私は、心配そうな面持ちで私の傍に付き添っているルヴィアさんに、こう尋ねた。

「…『青薔薇解放戦線』が、ルティス帝国に来てるんですよね?」

その名前を聞いた瞬間、ルヴィアさんの表情が固まった。
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