The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

俺は驚いた。

「『青薔薇解放戦線』のこと…知ってるのか？」

彼女が祖国にいたときにも、既に存在していた組織なのか？

いや…でも『解放戦線』は、秘密裏に活動していた組織だと聞いているが…。

大体、祖国で大っぴらに活動なんてしようものなら、憲兵局に見つかってしまう。

それなのに…何でフューニャが知って、

「…私も、『青薔薇解放戦線』のメンバーでしたから」

「…」

…フューニャが、『青薔薇解放戦線』のメンバー？

青ざめて、震えながら、フューニャはそう語った。

「スパイになる為に、家族と一緒にルティス帝国に不法入国して…国境を越えるときに、家族は亡くなったけど…。生き残った私は、この国で身を売りながら…『解放戦線』とも連絡を取っていました」

「…」

「…」

いきなりの告白に、俺は言葉が出てこなかった。

呆気に取られている俺に、フューニャはぶるぶると震えながら、すがるように俺に言った。

「私…私は、あなたを騙すつもりはなかったんです。巻き込むつもりもなかったんです…。あなたと出会ってからは、『解放戦線』との連絡も断っていました。私は…卑怯な女です。自分だけが幸せになって…祖国の仲間を見捨てて…！」

「…そうか…。フューニャ、良かった」

「…はい？」

俺はほっとしていたのだが、フューニャは何がなんだか分からない、みたいな顔でぽかんとしていた。

「な…何が良かったんです？」

「ん？いや…革命のこと、知ってたんだな。知らなかったら、きっとショックを受けるだろうと思って…」

一から説明して、ショックを与えたくなかったんだ。

でも革命軍のこと、知っていたのなら良かった。

「な…何言ってるんです。怒らないんですか？」

「怒るって…何に？」

さっきの暗殺者のことなら…殺してやろうと思うほど怒ってるが。

あいつは、『青薔薇連合会』の本部に連れていって、俺が直々に拷問してやる。

「私に、です。だって私…あなたを騙して…仲間を裏切って、自分だけ幸せに…」

「あぁ…なんだ、そんなことか」

「…そんなこと？」

あっ…そんなこと、は言い過ぎか。

見たところフューニャは…かなりの一大決心をして、告白してくれているようだから。

でも俺にとっては…実は、そんなに大事なこととは思えないのだ。