The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「あのな、ルヴィア…。気持ちは分かるが…ちょっと落ち着いてくれ」

「…はい」

土下座までされて、俺は一体何て言えば良いんだよ。

「ルヴィア…俺はお前にそんなことはされたくないぞ」

「…でも…フューニャを」

何としても嫁を救いたい、ということか。

呆れた愛妻家だな、お前は。

嫁の為なら、土下座でも何でもする、ってことか。

まぁ…かく言う俺の相方も、俺の為に革命軍に単身乗り込んだり、復讐心に駆られて他国と戦争引き起こしたりと、とんでもないことやらかしてくれてるけどな。

「それで…お前の嫁を亡命させてくれ、ってことだが…」

「…お願いします。ルルシーさん…」

また頭を下げようとするルヴィアを、片手で制した。

そんなことをする必要はない。

「ルヴィア、お前の嫁をアシスファルトに亡命させてやる」

「!本当ですか」

「あぁ。…ルレイア、お前の愛人の家に、彼女を匿うように手配してもらえるか。ウィンクロース家なら、憲兵局も手を出せないだろう」

「ルルシーのお願いとあらば」

頼もしいことだ。我が相棒は。

「ありがとうございます…!ルルシーさん」

ルヴィアは九死に一生を得たかのような顔をしていた。

だが、喜ぶのはまだ早い。

「だがな、ルヴィア…条件がある」

ただで嫁を亡命させてやるつもりはない。

「…はい。何でも仰ってください。フューニャを亡命させてもらえるなら、俺はどんな危険な任務でも…」

ルヴィアは、強い覚悟を宿した目をしていた。

爆弾を抱えて敵地に飛び込め、と命じれば喜んでやりそうな勢いだな。

しかし、ルヴィアの嫁はそれを望んではいなかった。

「やめてください、ルヴィアさん…!私の為にそんな危険なことを…!」

「良いんだ、フューニャ…。言っただろう。俺はお前を守る為なら、何でもする」

…二人共、今生の別れのような会話をしているが。

そうはいかないぞ。

「ルヴィア…お前に、特別任務を命じる」

「はい…。何をすれば良いですか」

「お前も嫁と一緒に、アシスファルトに行け」

「は…!?」

ルヴィアも、ルヴィアの嫁も、夫婦揃ってぽかんとしていた。

「ルレイア…。お前の愛人に、二人匿ってくれるように頼んでくれ」

「もう頼みましたよ。ルルシーがそう言うだろうと思って」

シャリヤ・ウィンクロースと連絡を取っているのだろう、スマホをポチポチしながら、ルレイアが答えた。

…さすがルレイアだ。
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