The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
俺は翌日、フューニャに乞われて、『青薔薇解放戦線』が拠点にしている帝立ホテルに向かい、一人の女性を呼び出した。

ミルミルという名の、フューニャと同じくらいの年齢の女性だった。

フューニャは、アシスファルト帝国に発つ前に、どうしても彼女に会いたいと言った。

フューニャの、箱庭帝国時代の友達なのだとか。

俺は反対した。そんなことをしたら…「お前だけ安全なところに逃げるのか」と責められて、後ろ髪を引かれる思いをするだけだ。

それどころか…その友達に説得され、やっぱりルティス帝国に残る、と言い出しかねなかった。

でもフューニャは、どうしても彼女に会いたい、と強く訴えた。

そこまで言うなら、もう止めることは出来ない。

仕方なく、俺はフューニャとその友達を引き合わせることにした。

フューニャが万が一心変わりしてはいけないから…俺も同席させてもらうという条件で。

我ながら、俺も浅ましいことだ。

ミルミルというその女性は、フューニャと、その傍に寄り添う俺を見て、驚いたようだった。

「そなたが…フューシャの思い人か」

「…そうだ」

そういえば、フューニャのもとの名前はフューシャなんだったな。

すっかりあだ名が定着してしまっているが。

「『青薔薇連合会』準幹部の…ルヴィア・クランチェスカだ」

「『青薔薇連合会』…。そうか、そなたマフィアなのか。ならば…革命軍のことも知っているな」

当然だ。

「俺は、今回の革命で『青薔薇連合会』アシスファルト支部に異動することになった。フューニャも一緒に連れていく」

「…」

「フューニャが最後に挨拶したいと言うから…ここに連れてきた」

フューニャは、酷く後ろめたそうな顔をして…おずおずとミルミルの前に歩み出た。

何と言えば良いのか…言葉を必死に探しているようだった。
< 169 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop