The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルルシー

───────…ルレイアが、ルアリスに服を選んでやると聞いたときから、嫌な予感がしていたのだが。

「…良いか、ルレイア…。自分の趣味で選ぶんじゃないぞ。分かってるな?」

「そりゃもう、分かってますよルルシー。ちゃ~んと、その人に一番似合う服をチョイスしてみせます」

目をきらきらさせるルレイア。

…とても胡散臭い。普段の行いだな。

「そんな訳なので、早速俺の行きつけのお店にご案内です」

ルレイアの…行きつけのお店、と来たら。

考えられるのはただ一つ。

意気揚々と歩くルレイアに案内され、連れていかれたのは。

勿論。

「ここが俺の行きつけの…ゴスロリショップです」

「…」

…だよなぁ。

その他の選択肢が全く思い付かんもん。

右を見ても左を見ても、中世のお姫様みたいなフリフリしたデザインの、黒い服が並んでいた。

見てみろ。ルアリスもその仲間達も、目が点になってる。

「こ…こんな服を着るんですか…?」

ルアリスのお仲間の、確かラシュナとかいう子が、不安げな面持ちでルレイアに尋ねていた。

その気持ちはよく分かる。

ルレイアにゴスロリ服を勧められて、疑いもせずに素直に着るのはシュノくらいだ。

大抵の人には抵抗があるだろう。

「こんな服とは失敬な。ゴスロリは良い文化ですよ。男も女も多種多様なゴスロリがありますが、やっぱり女性の方が種類豊富で楽しいですよね」

「…」

言葉を失うラシュナ。可哀想に。

ショップの店員達が、ルレイアの顔を見てわらわらと集まり、ようこそいらっしゃいましたと頭を下げていた。

超お得意様なんだろうな。何で女性モノのゴスロリショップで、男のルレイアがお得意様になっているのかは知らないが。

「さて、それじゃ…一人ずつ選んでいきましょうか」

魔王のごとき笑みを浮かべるルレイア。

あぁ…もう駄目だ。

あと俺に出来ることは、せめて少しでもまともっぽい服を選ばせることだな。

とはいえ…。

店内のぐるりと見渡す。右を見ても左を見ても…黒くてひらひらの派手な服が並んでいるが。

その中でも、特に派手なものもあれば…比較的シンプルなものもある。

あっ…ほら、そこのマネキンが着てるブラウスとか、比較的まともじゃないか?

細かいレースがたくさんついてるが、遠くからだと見えないし。

近くで見るとアレだけど、遠くから見ると全然気にならない。

「ルレイア、これ…」

勧めてあげたらどうだ、と言おうとしたのだが。

時は既に遅かった。

ルレイアは、早速めぼしい品を見つけたらしく。

ハンガーにかけられたワンピースを手に取っていた。

勿論真っ黒で、胸元に巨大なリボン、腰には黒いベルトがついた、見るも恐ろしいゴリッゴリのゴスロリワンピースだった。

お、お前…それを誰に着せようとしているんだ。

「あなた、これ似合うと思いますよ」

「えっ」

白羽の矢が立ったのは、さっきのラシュナであった。
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