The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…と、思ったものの。

ルレイアの恋人様に粗相があってはならないと、超丁寧に採寸され、あれこれと色んな服を勧められては。

俺、そんな趣味ありませんから!!とは言えなかった。

だって、店員さん達には何の罪もないし。

覚えてろよルレイア。

「あ、これが良いじゃないですか。ルレイアに似合いますよ」

ルレイアは、黒いひらひらがついたゴスロリシャツを手に取った。

おいマジか。俺、あんなの着せられるのか。

「こちらは先月の新商品ですね。確か、ルレイア様も購入されてますよ」

と、店長さん。

「なんと。じゃあルルシーがこれを買うと、俺とお揃いってことになるんですね?」

「そうなりますね」

「ルルシー、じゃあこれにしましょうよ。俺とお揃い」

目をきらきらさせるルレイア。

何が嬉しくて…ルレイアとお揃いの服なんて着なきゃならないんだよ。

別に、ルレイアとお揃いなのが嫌なんじゃない。ゴスロリ服が嫌なんだ。

俺がルレイアとお揃いでこんな服着てみろ。アリューシャに何て言われるか。

「とうとうルル公まで、ゴスルレ毒にやられたか…」とか言う。絶対言う。

俺はそんな毒にやられるつもりはない。

「…気が進まないな」

「え~」

断ると、ルレイアは不満げであった。

当たり前だ馬鹿。

大体、今日は『青薔薇解放戦線』の面々の為に服を選びに来たんじゃなかったのか。

何で俺まで巻き込まれてるんだ?

「ルルシーはもっと派手な方が好きなんですか?じゃあこっちにしましょうか」

おい、派手な方が良いとか一言も言ってない。

むしろ逆。黒単色でも良いけど、せめてもっとシンプルな…。

「そちらの商品も、以前ルレイア様が購入されてましたよ」

「そうでしたっけ?そりゃ俺が気になる訳ですね」

またルレイアとお揃いかよ。

お前、この店の服ほぼコンプしてんだろう。

どれを選んでも大体ルレイアとお揃いになるんじゃないか。

あとルレイア。自分の買った服ちゃんと覚えとけ。

「じゃ、ルルシーは俺とお揃いでこれにしましょう」

は?お前ちょ、何を勝手に決めてんの?

俺の意見は?

「おま、待てルレイア」

「大丈夫ですよルルシー。俺が払いますから」

金の問題じゃねぇ。

「お買い上げありがとうございます」

店長さんも何言ってんの?

「そちらの商品が気に入ったなら、こちらは如何ですか?」

「おっ、これも良いですねぇ」

「こちらも、ルレイア様が以前購入されたものですよ」

「じゃあお揃いですね!これも買いましょう。ルルシー、似合いますよ」

…この店、本当にルレイア…コンプしてんじゃね?

どれを選んでもルレイアとお揃い。

きゃいきゃいと店長さんと買い物を続けるルレイアを、俺は遠い目で見つめた。

…ルレイアが止められません。

「…あ、あの…ルルシー殿…」

見かねたルアリスが、俺を慰めようとしてか、声をかけてくれた。

「良いんだよ…。ルレイア…楽しそうだし…」

ルレイアが暴走するのはいつものことだ。

買い物で暴走するくらい、可愛いものじゃないか。

少なくとも、死神モードになってないんだから。

うん。そう思おう。
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