The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルアリス

─────…一方で。

その日、俺達を見たミルミルは、すっとんきょうな声をあげた。

「何じゃ、そなたら。その奇っ怪な格好は!」

「…」

…絶対そう言われると思った。

自分で鏡を見てそう思ったから。

「一体何があってそんな格好になったのじゃ?気でも狂ったか」

「…正常です…」

皆正常です。そのはずだ。

俺だって…望んでこんな格好をしているんじゃない。

やむにやまれぬ事情があるのだ。

…ルレイア殿が、「着ろ」と言ったから。

それに…安くもない値段を、全部支払ってくれたのだから…こんなの着たくないからポイ、なんて訳にはいかないじゃないか。

服に罪はないのだから。

それでも…この服を着て堂々としているというのは、非常に無理がある。

「外に出るのが恥ずかしいわ…」

「はい…。同感です…」

ラシュナとセトナ様は、ひたすら恥ずかしそうにもじもじしていた。その反応が正しい。

俺だって恥ずかしくて、外になんか出られない。

しかし。

「ユーレイリー…。お前は、割と平気そうだな?」

全く恥ずかしそうな様子のない、我が執事。

「主が耐え忍んでいるのですから、私が泣き言を言う訳には参りません」

この威厳ある姿。ユーレイリー…お前なんて良い執事なんだ。

更に、堂々としているのがもう二人。

「私は割と気に入ってるけどな」

「ヴァルタ…」

お前は…本当に尊敬するよ。

あのルレイア殿の趣味についていけるなんて。

彼女は、派手なゴスロリ服(と言うらしい)を平然と着こなしていた。

成程、堂々としていると非常に似合う…。ルレイア殿と同じだ。

そしてもう一人、全く動じていないのがヴィニアスである。

「恥ずかしがるから余計恥ずかしいんじゃん…。全裸じゃないんだから恥ずかしがる必要ないでしょ」

「…」

そりゃまぁ…。

「それに、箱庭帝国の国民服と比べたら全然ましだもん」

「…そうだな」

究極の選択だけどな。国民服を着るか、このゴスロリ服を着るか、全裸でいるか。

苦渋の選択でこれになった。

「…そなたら、何と言うか…大変じゃったのう…」

「…」

ミルミルは、可哀想なものを見る目で俺達を見つめていた。

…彼女だけでも、ルレイア殿の…その、ゴスロリの毒牙にやられなくて…良かった。そう思おう。



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