The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
さながら羊の群れだ。こいつらは。

兵士どころか、まず人間ですらない。

「個々の戦闘能力が低いのは承知の上ですがね、その上で武器の扱い、何より統率力。これが皆無です」

ろくに命令も通らない、武器もまともに扱えない。

こんな連中と一緒に戦争しろと?

どんな冗談だよ。

「せめて人並みに上官の言うことを遂行出来る連中を連れてきて欲しいですね」

「…やはり、まだ訓練不足ですか」

俺に酷評されることが分かっていたのか、ルアリスはそれほど落ち込まなかった。

その態度は殊勝だがな。

「訓練不足で括って欲しくないですね。これじゃ訓練なんてしてないようなものです。こんな奴らと一緒に戦うなんて、うちの士気に関わりますよ」

「…」

無能な仲間は、いるだけで足を引っ張る。

だったら、最初からいない方がまだましなくらいだ。

「あなた方が怪我しようと命を落とそうと勝手ですけどね、お宅の無能のせいでうちの兵士が傷つくんなら、それは黙っていられないんですよ」

大体俺は、元々戦争なんて大嫌いなのだ。

こんな下らない人的資本の浪費はないぞ。

戦争なんて、アホのすること。

だから俺は、戦争じゃなくて復讐をしようとしてるってのに。

革命軍ってのはハナから戦争する気満々だからな。

それはそれで好きにすれば良いけど、戦争するならせめて戦える人間を持ってこい。

これじゃ時間と金と命の無駄遣いだ。

「しっかりしてもらわないと困りますよ。俺達を傭兵代わりにして、自分達は無血で国を取り戻そうなんて、そんな都合の良いこと考えてるのかもしれませんけど」

「そんなつもりは…!」

「これを見せられちゃ、いくら口で否定してもそんなつもりにしか思えませんよ」

「…」

俯き、黙り込むルアリス。

彼の気持ちも分からなくはないがな。

別にルアリスが悪い訳じゃない。そして、この兵士達もまた、何も悪くはない。

元々こいつらは、戦う為の訓練なんてしてないのだから。

その点、彼らが気の毒ではある。

しかし。

「よそ様の国を巻き込んでまで、革命なんて大それたことをしようとしてるんですからね…。覚悟を決めてもらわないと困りますよ」

戦いなんてやったことありません、なんて言ってる場合じゃない。

武器を取って戦場に出たからには、言い訳は通用しない。

殺るか、殺られるかだ。

だったら、殺られるよりは殺る方が何倍もまし。

そこで俺は、ふと思い付いた。

「…そういえば、ルアリス。あなたの実力はまだ、見せてもらったことがありませんでしたね」

「え…?」

良い機会だ。『青薔薇解放戦線』のリーダーの実力を、見せてもらおうじゃないか。
< 194 / 791 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop