The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
ルアリスがこれで、お話にならないくらい弱い、なんてことになったら。

ルレイアは呆れて、「やっぱり革命軍に協力するのやめる」と言い出しかねなかった。

だが、意外なことに…ルアリスは、そこそこやるようで。

ルレイア相手でも、遅れを取ってはいなかった。

なかなかやるな、と思った。

一応、革命を目論むだけのことはある、と判断しても良いのでは?

気がつけば、訓練場にいた革命軍の兵士達が、感心したように二人の試合を見つめていた。

「凄いな、ルアリスさん」

「『青薔薇連合会』の幹部と対等に戦えるなんて…」

「さすがルアリスさんだ」

…うーん…。

俺としては、あまり…良い気分ではないが。

残念ながらと言うか…申し訳ないのだが。

これが対等だと思ったら…それは大きな間違いだ。

その証拠に。

「はぁ…はぁ…」

「ふーん、あなたそこそこやるみたいですねぇ」

ルアリスは肩で息をしているのに対し、ルレイアはまだ余裕綽々であった。

そういえばお前、帝国騎士やめてからもう十年近くになるのに、何でまだ剣を使えるんだ。

むしろあの頃より強くなってるだろ。

昔のルレイアは、めちゃくちゃ強かったけど…。

…今は、無敵だ。

色んな意味でな。

「あなたの実力は大体分かったので…そろそろ終わりにしましょうか」

「え…?」

にこっと笑ったルレイアが、一歩前に踏み出した。

次の瞬間。

ルアリスが握っていたはずの太刀が、訓練場の壁に叩きつけられ…そのままカラン、と床に落ちた。

「…!?」

ルアリスは呆然として、太刀がなくなった手元を見下ろした。

呆然としているのは、観衆も同じだった。

何があったのか…理解出来ているのは、俺と、それから当事者であるルレイアくらいのものだろう。

…ルレイアのスピードについていける人間なんて、この国には片手で数えられるくらいしかいないぞ。

俺でさえついていけないくらいなのに。

ルレイアが本気を出せば…ざっとこんなものだ。

ルアリスもそこそこは強いようだが…それでもルレイアの敵じゃない。

ルアリスが弱いのではない。ルレイアが化け物なのだ。

さっきまで対等に戦ってるように見えたのは…単に、ルレイアが手を抜いていたからに過ぎない。

…ルアリスも、可哀想に。

こればかりは、相手が悪かったとしか言いようがない。

「…!」

自分が敗北したことを理解したらしいルアリス。

がっくりと落ち込んでいたが、俺はそんなルアリスを慰めた。

「そう落ち込むな。よく食い下がった方だと思うぞ」

ルアリスが弱かったら、ルレイアは「うっかり勢い余って」腕や足の一本へし折っていただろうからな。

ルレイアがそれをしなかったということは、一応これでルアリスを認めているということだ。
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