The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
言うべきことを全て言って、俺はその場を後にした。

その翌日。

俺はセトナ様と一緒に、車で昨日の訓練施設に向かっていた。

…皆、昨日のこと…どう受け止めたんだろうか。

ああいうやり方をしたことについて、後悔はしていないけど…。

「…あれで、良かったんですかね」

どうしても不安で、俺はセトナ様にそう話しかけた。

「ルアリスさんらしくて、とても良かったと思います。あなたの気持ちが伝わってきましたよ」

セトナ様は笑ってそう言ったが、彼女は優しいから…元々、俺を傷つけるようなことは言わない。

ルレイア殿があれを見れば、甘いと言って嘲笑っただろうな…。

確かに甘いことなのかもしれない。でも俺には、あの方法しか思い付かなかった。

だから、あれで良いのだ。

もし、俺の思いが伝わっていなかったとしたら…。

もし、まだ戦意を失ったままだったとしたら…。

…もう、手の打ちようがない。

どうしても革命を行いたいなら、ルレイア殿の言ったように、殴って従わせることも出来るかもしれないけど。

でも…恐怖で人を縛り付けてまで行う革命に、何の意味があるだろう。

そのときは…もう、俺は諦めるしかない。

あの人のようなやり方が出来ないのだから、俺のやり方に皆が賛同してくれないなら、俺の革命はここまでで終わり。

あとは帝国騎士団に追い出されるなり、『青薔薇連合会』の弾除けにされるなり、もう好きにさせるしかない。

俺にはリーダーとしての素質がなかった。それだけの話だ。

そう思うと、酷く暗い気持ちになった。

かの英雄だったら…あの伝記に出てくる英雄だったら…こんなとき、どうしていたんだろうな。

重い気分で訓練施設に到着し、セトナ様と車を降りると。

そこに、先に来ていたユーレイリーが駆けつけた。

「坊っちゃん!」

「ユーレイリー…?どうした?」

珍しく、ユーレイリーは息が上がっていた。一体何があったのか。何か良くないことでも起きたのか…。

「何があったんだ?」

「坊っちゃん、成功です…!あなたの言葉に、皆目を覚ましてくださいましたよ」

「え?」

てっきり悪いことが起きたんだと思っていた俺は、思わずきょとんとしてしまった。

…一体、どういうことだ?

「中を見てください。さぁ」

ユーレイリーと、セトナ様と一緒に訓練施設に入る。

すると、中から多くの人の話し声や物音が聞こえてきた。

どういうことだ?規定の訓練が始まるまで、まだ一時間もあるのに…。

「これ…」

そこに広がっていた光景に、俺は言葉を失った。
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