The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
セトナ様が、泣きそうな顔で口許を押さえているのが見えた。

まだ訓練が始まるまでに時間があるというのに、施設の中は既に人で一杯だった。

皆、見よう見まねで、それでも必死に訓練に励んでいた。

昨日までとは、顔つきがまるで違う。

一人一人が、真剣そのものの表情だった。

「ユーレイリー…これ…」

「あなたの言葉が届いたんです…。私も驚きましたよ。私がここに着いたときには、既にこの様子でしたからね」

そんな。

皆、一体いつからやってるんだ?

「ルアリスさん!」

熱心に訓練していた仲間の一人が、俺がやって来たことに気づいて、駆け寄ってきた。

「皆…一体どうしたんだ?こんな早くから…」

「ルアリスさん…。俺達、あの後皆で話し合ったんです」

彼は、しっかりと俺の目を見てそう言った。

昨日までのように、俺の顔を見たらそっと気まずそうに顔を逸らすのではなく。しっかりと俺の目を見て話してくれた。

「ルアリスさんの言葉で、目が覚めました。俺は…俺は祖国に帰って、残してきた家族と、友人を救いたい。一緒に戦います。ずっとルアリスさんについていきます」

「…!」

「今まで訓練をサボってきたぶんは、今からたくさん訓練して取り戻します。皆同じ気持ちです…。不甲斐ない仲間かもしれませんが、どうか俺達を導いてください」

彼はそう言って、昨日の俺のように頭を下げた。

…まさか、俺が頭を下げられる側になるとは。

頭を下げるのは…俺のはずなのに。

感動のあまり、俺は涙が出そうになった。

「あぁ…。俺も、不甲斐ないリーダーだけど…皆、ついてきてくれ。一緒に、祖国に平和を取り戻そう」

「はい!」

間違って、いなかった。

俺のやり方は、間違っていなかったのだ。

それだけで俺は、涙が出るほどに嬉しかった。
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