The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…」

挨拶代わりに、馬鹿呼ばわりされた。

相手がルレイア殿でなかったら…逆ギレしてもおかしくないところだが。

ルレイア殿には、この間何度も何度も馬鹿馬鹿言われたから、今更何と言われようとショックは受けないが…。

…そうか。馬鹿か。

まぁ…馬鹿だよな。

自分でも自覚してるから、否定のしようもない。

「はぁ…はい…そうですね」

馬鹿と言われて、気分が良くなる者もいないだろう。

俺は内心、ちょっとしょぼんとしたのだが…表情には出さなかった。

ルレイア殿に比べたら、俺が馬鹿なのは確かだし…。

…でも、だからって、出会い頭に何の脈絡もなく「馬鹿ですよね」はないんじゃないか?

人としてどうかと思うぞ。

と、心の中で愚痴っていると。

「ルレイア…お前、失礼だろ…」

ルレイア殿の相棒であるルルシー殿が、俺の気持ちを代弁してくれた。

この人は良い人だ。

「俺は事実を言ったまでです」

「事実だとしても、言って良いことと悪いことがあるだろ」

「じゃあ何ですか。この人こんなに馬鹿なのに、『天才ですね!』って大嘘言うんですか?それは本人の為になりませんよ。俺は親心で、心を鬼にして言ってるんです…。本当はこんなこと言いたくないんですよ?俺、親切で優しい大人なので」

「…」

その設定…まだ続いてたんだ。

きっと…そう。俺達の思う「良い大人」とルティス帝国の「良い大人」は違う概念なんだ。

そう思おう。

そうでなきゃ納得出来ない。

「ともかく、彼は馬鹿なんですよ」

「はぁ…その、どうしたら良いんですか?俺は…」

ルレイア殿も、わざわざ改めてそんなこと口にするのだから…何か理由があるんだろう?

俺に、何かやらせたいことが…。

「馬鹿を直すには、方法は一つですよ。ルアリスさん」

「…?」

「学べ。それだけです」

えへんっ、とどや顔をしているルレイア殿だが。

俺と、ついでにルレイア殿の隣にいるルルシー殿は、二人で顔を見合わせた。

この人…何言ってるんだろうな…?と。
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