The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルレイア

─────…ルアリスも、ルルシーもまた…ぽかんとしていたが。

何故ぽかん顔なのか。

俺は正しいことを言ったはずなのだが?

「あの…学べ…というのは、どういう意味ですか…?」

挙げ句、間抜けな顔でそう尋ねてきた。

はぁ。全く嘆かわしい。

「言葉通りの意味ですよ。他にどんな意味があるんですか」

辞書を引いてみろ。学ぶ、ってな。

他の意味があるなら、是非俺にも教えてくれ。

「あなたは馬鹿なんだから、もう少し学ぶべきです」

「は、はぁ…」

俺は、限りない親切心をもって、彼にそうアドバイスをしてあげたというのに。

ルアリスは、この気のない返事。

…何だよ、こいつは。真面目に返事しろよ。

「あなただけでなく、『青薔薇解放戦線』のメンバーは全員そうです。総じて、皆馬鹿」

「…」

それも、救いようのない馬鹿共だ。

すると、ルルシーが俺をジト目で見た。

「ルレイア…言い過ぎだぞ」

「だぁって。事実じゃないですか~」

俺、素直だからオブラートに包むってことが出来ないし。

あぁ、素直な性格って辛いなぁ。

だから俺は、思ったことをズバリと言う。

「あなた方は知識と教養に欠けます。特にルアリスさん、あなたです」

「はい…」

「あなたは仇敵である憲兵局を倒そうとしている。でも…分かってますか?憲兵局とは、箱庭帝国の政府そのものなんですよ。政府をぶっ倒して、その後あなた方…どうするつもりなんですか」

「…え」

え、じゃねぇよ。

だからお前は馬鹿だって言われるんだ。俺にな。

「セトナ様とやらを押し立てて暫定政府を発足させるつもりなんでしょうけど…。あなた、国作りの基礎は分かってるんですか?」

「…それは…」

ほら、やっぱり。

案の定、ほとんど考えてなかったようだな。

「あなた、憲兵局を倒した時点で革命が終わると思ってます?本物の馬鹿ですね…。憲兵が倒れ、それまでの体制が崩れ去った後、混乱する国を見捨てるつもりですか?」

良くも悪くも、憲兵局は箱庭帝国を維持している政府機関なのだ。

そして箱庭帝国の内政は、全て憲兵局に依存している。

その憲兵局を、打倒するのは良いが…その後、舵取りをする者がいなくなった国が、どんな末路を辿るか…この男、ちゃんと分かっているのか?

「無政府状態になった箱庭帝国がどうなるか…想像つきませんか?荒れるなんてものじゃないでしょうねぇ。混乱し、内乱が起き、最悪第二の憲兵局、第三の憲兵局が出てきて…更なる戦争に発展しかねない。俺には容易に想像出来ますよ」

あの国は現在、憲兵局による完全独裁状態だ。

つまり憲兵局がなくなった後、国を納める為の機関は何も存在しない。

「革命の後、混乱する箱庭帝国を統治するのは誰ですか?あなたでしょう?ルアリスさん。あなたと、それからセトナさん」

「…はい」

「憲兵局が倒れ、国が大きく変わる転換期…。次代の箱庭帝国の基礎を作る為の、めちゃくちゃ大事な時期に…国を納める二人が馬鹿だったとしたら、どうなると思います?」

「…!!」

どうやらルアリスも、分かってきたようだな。
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