The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
…そういえば、俺。

もう20歳台も後半になってるのに、何で未だに学校の問題集やってんの?

そもそも今日の企画は…『青薔薇解放戦線』の面々に勉強を教えるのがメインであって、俺達関係なくね?

何で俺まで?

しかも。

「…んー…」

何だっけな、この数学の問題…。

確か、公式が複数あって…どれを使うか選ばなきゃならないはずなんだが。

どれだったっけ…。

アイズに聞こうと思って、彼の方を振り返ったが。

「良い?アリューシャ…。27個の飴を、7人で分けたら…一人何個もらえると思う?」

「ん~…。…4!」

「4個ずつにしたら、一人だけ3個しかもらえない人が出てくるよ。可哀想でしょ?」

「そうか…。世の中は不条理なことが多いからな。仕方ねぇよ。隣の奴から奪い取れ」

「それじゃ不公平だからね、皆に3個ずつ配って、6個余らせるの」

「何でだよ!6個勿体ねぇじゃん!分けなくても良いよ。欲しけりゃ奪い取れ!弱肉強食だ!」

「アリューシャは民主主義的思考なんだね」

アイズは、アリューシャ(小学生)に教えていた。

あんなアホに教えなきゃならないって…アイズも大変だな。

つーか、九九の問題じゃねぇか。あいつそんなとこからやってんの。

それなのに、アリューシャ本人は全く気にしていない様子。

あろうことか、嬉しそうに俺の背中をぱん、と叩いてきた。

「ルル公!アリューシャね、みんしゅしゅ主義だって!凄くね!?」

「あ~…。うん。凄い凄い…」

幼稚園児か。お前は。

こんなんが、『青薔薇連合会』の幹部で、しかも『連合会』でも屈指のスナイパーだというのだから、人間って見た目で判断出来ないよな。本当。

とにかく、アリューシャを教えてるから、アイズに聞くことは出来ない。

じゃあやっぱり…自分でやるか、

「お困りですか、ルルシー…?」

「うぉっ!」

ぬるり、と背後に寄ってきたルレイア先生。びっくりした。

「お困りですよね…?俺に聞いて良いんですよ…?」

「いや…別に困ってないから、大丈夫」

「この問いが分からないんですよね…?うふふ。ルルシーったら困ったちゃん…。このルレイア先生が、たっぷりと時間をかけて…丁寧に…身体で教えてあげますよ…?」

ふー、と耳元に息を吹き掛けられ、俺は背筋がぞわっ、とした。

うっかりしていると持っていかれそうになる。危ねぇ。

「俺は良いよ、ルレイア…。それよりアリューシャ教えてやれよ。あいつ九九が分からないらしいから」

「さぁルルシー。ルレイア先生と二人きりで、内緒の特別授業…しましょうね?」

「…AVのタイトルかよ…」

こんな破廉恥教師、リアルでいてたまるか。

頼むから、他の奴を教えてやってくれ。

俺は自力でやる。
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