The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルルシー

─────…アポなしで俺の部屋を訪ねてきたルヴィアを見て、俺は一瞬、何か良くない知らせか、と思った。

だって、他にルヴィアがここに来る理由があるか?

頼んでおいた書類は先日届けてくれたし、他にルヴィアに頼んでいた仕事はなかったはず。

ということは、何か不測の事態が…と勘繰ったが。

でもルヴィアの表情に、緊迫した様子はない。

と、いうことは?

「…どうしたんだ?ルヴィア」

「はい。実は…ルレイアさんにお話がありまして」

え?ルレイア?

「俺に何か?」

今日も当たり前のように俺の部屋に遊びに来ていたルレイアが、ひょこっ、と顔を覗かせた。

なんだ、ルレイアに用があったのか…。

…ん?よく考えたら…。何でルレイアに用事があるのに、俺の部屋を訪ねてくるんだ?

…ここに来れば、ルレイアに会えるだろう、って?

あぁ、頭いてぇ。

やっぱりこいつを追い出す手段を、真剣に考えないといけないな。

「はい、ルレイアさん。実は…先日ルレイアさんに言われて、俺、考えたんです。嫁に…結婚指輪を買ってあげようって」

「ほほう。それは良いですね」

しかも、やっぱりルヴィアの嫁絡みの相談だった。

よそでやってくれ。何度そう思ったか分からない。

「手近なジュエリーショップから、カタログ送ってもらったんですけど…。どれが良いと思います?」

「…」

「やっぱり、大きめのダイヤモンドとかついてた方が良いんでしょうか。何カラットくらいが相場なんだと思います?ルレイアさんなら、詳しいと思って…」

…そりゃルレイアなら詳しいだろうが。

そのルレイアは、真顔でカタログを見下ろしていた。

酷く冷めた目をしていた。

…ルレイア?

「どうしたんだ、ルレイア…。ルヴィアの相談に乗ってやらないのか」

「いえ…。俺はこれでも考えてるんですよ。ルルシーのアホな部下に、何て言って説教してやれば良いのかと」

え、説教?

何故ルヴィアが説教されなければならない?

大事な嫁に、結婚指輪をプレゼントしようとしているだけだろう?良い奴じゃないか。

「え…。な、何か不味かったですか…?」

ルヴィアも、何が悪いのか分からないようで、混乱していた。

「不味いなんてもんじゃないですよ。馬鹿ですねあなたは。乙女心が全く分かってない。それじゃハーレムは築けませんよ」

別にルヴィアはハーレムを築きたい訳ではないだろ。

それはお前だけだ。

「な、何がいけないんでしょう?」

「どんな結婚指輪をプレゼントしたら良いのか?それを俺に聞きますか。良いですかルヴィアさん、結婚指輪というのは、女性の夢であり、憧れなんです。それだけに、人によってこだわりが強い」

ほう。

「あなたの言う、大きなダイヤモンドがついている指輪に憧れる女もいれば、宝石のついてないシンプルな指輪に憧れる女もいる。結婚指輪は一生モノなんですよ?あなたが選んで買ったものが、あなたの嫁にとって憧れとは程遠いものだったら、どうするつもりです?一生根に持たれますよ」

「!」

ルヴィアははっ!としていた。

これには、俺もはっとした。
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