The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
「…よし。じゃあ俺はこの辺で早退させてもらう」

「ちょぉぉ、待ってくださいよルルシー。まだ帰るには早いです。チャイム鳴ってませんよまだ。授業が終わってから帰りましょう?」

科目を聞くなり帰ろうとしないで。ちゃんと勉強してから帰ろう。

「何考えてるんだお前、このセクハラ教師」

「いやいやルルシー、保健体育の授業は大切ですよ?少子高齢化が進みつつあるルティス帝国で、今一度若者が健全な保健体育について学ぶことは非常に大切なことだと俺は思いますけどね。…それに、ほら」

俺は高校生用の、保健体育の教科書をルルシーに見せた。

「一般の高校にも、保健体育のカリキュラムを組むことが義務付けられてるんですよ!俺達だって騎士官学校行ってたとき、保健体育習ったじゃないですか」

「そりゃまぁ…あったけど…」

「ごく普通の一般教育の一貫として、ルアリスさんにも保健体育を教えておくべきだと、俺は思うんですよ。でも彼と一対一だと、ルアリスさんも緊張するじゃないですか。だからルルシーも一緒に。ね?」

「何が、ね?だ。上手いこと丸め込もうとするんじゃねぇ」

ちっ。そう簡単には引っ掛からないか。

さすがルルシー。保健体育と聞いて、そこでテンパってるお子様なルアリスとは大違い。

「とにかく!ルアリスさんには保健体育の授業が必要です。一国のリーダーになる者として、人口生産の観点からしてもこの知識は不可欠ですよ」

「…」

「ルルシーも付き合ってくださいよ~。ねぇ~」

「キモい…。分かったよ、分かったから離れろ」

よしよし、さすがルルシー。

なんとか了解を取り付けたぞ。

「では早速始めましょうか。まず手始めに…手っ取り早くAVでも観ます?」

「教育委員会に訴えるぞ」

そんな、冗談冗談。マジな顔で怒らないでって。

AVという魅惑のワードに、ルアリスも酷く混乱しているようだし…。

「分かりましたよ、ルルシー。ちゃんとやります。ちゃんとやるので怒らないで」

「本当にちゃんとやれよ」

「はい。ちゃんとやります」

あんまりルルシーを怒らせて、今日ご飯作ってくれなかったら嫌だしな。

よし。ちゃんとやろう。

要するに、このどう見ても朴念仁なルアリスに、少し女っ気をプラスしてやろうと思っただけなので。

「それで、ルアリスさん…。あなた、女性経験のほどは?」

「えっ…えっ」

この戸惑い具合。聞くまでもないようだな。

「なしですか。じゃあ童貞ですか」

「…!!」

童貞というワードに過剰反応する辺り、やっぱりそうらしい。

いやぁ、若いねぇ。青いねぇ。

小学生かこいつは。
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