The previous night of the world revolution3〜L.D.〜

sideルアリス

──────…いきなり童貞かどうかを聞かれ、俺は酷く狼狽えた。

そんなこと…そんなこと、どうでも良くないか?

「そ、そんな…俺、まだ成人もしてませんし…」

いくらなんでも…まだ早いだろう。

「何で?だって箱庭帝国じゃ、18歳になったら強制結婚してヤりまくるんでしょう?じゃあ成人なんて気にしなくて良いじゃないですか」

「や、やりっ…!?」

なんて卑猥なワードだ。

確かにあの国では…18歳になったら皆結婚させられるけど、でも。

それは憲兵局が勝手に決めた、悪しき習慣であって。

俺達国民の意思によるものではない。

「それにあなた、周りにあんなに女の子はべらせてるじゃないですか」

「は!?」

俺がいつ、誰をはべらせた?

思い当たる人間がいないのだが?

「ほら、セトナさんを筆頭に、ラシュナとかヴァルタとかミルミルとか、あとヴィニアス…でしたっけ?こんなに女がいれば、どれか一匹とはヤったことあるんじゃないですか」

「あ、ありません!」

考えたことさえない。

彼女達は、大事な革命軍の仲間なのであって。

一人の女性としてなんて…そういう目で見たことは、一度もない。

「あなた男の癖に、随分奥手ですねぇ…」

呆れ顔のルレイア殿。

こう言っては悪いが、あなたが積極的過ぎるのでは?

「あれだけ毎日一緒にいて…寝食を共にしてたら、そういう雰囲気になったりしないんですか?」

「…なりません」

ルティス帝国の貞操観念って、どうなってるの?

共同生活をしているとはいえ、彼女達は仲間であるとはいえ…でも、恋人になった訳じゃない。

リーダーという立場を利用して、彼女達に言い寄ったりもしない。

そんな不誠実なことが出来るものか。

「大体、ルレイア殿…。そういうことは、本当に心に決めた相手とだけするものだと思います」

「頭固いですねぇ…。誰とやっても減るものじゃないというのに」

そういう問題ではないと思うのだ、俺は。

それともこれは…文化の差なのか?ルティス帝国では、これが普通なのか?

箱庭帝国が平和になった暁には、俺は一夫一婦制と正しい貞操観念の教育に力を入れよう。

誰彼構わず、そういうことをするのは良くない。

「ん?ということはあなた…『青薔薇解放戦線』の中に、魅力的な女性はいないってことですか」

「え?」

「だって、心に決めた相手がいないんでしょう?あんなに女の子に囲まれてるのに、一人も良いのがいないんですね。あなた、意外に高望みするタイプですか」

「!?」

た、高望みって…。そんなつもりは。

ルレイア殿、今度は一体、何を言い出すんだ。

というか…これが保健体育の授業なのか?
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