The previous night of the world revolution3〜L.D.〜
私はアシスファルト帝国帝都にある一軒家で、ルヴィアさんの帰りを待っていた。

この家は、アシスファルト帝国で非常に有力な貴族の女主人が用意してくれたものだ。

その女主人、アシスファルト帝国に亡命した私達の為に、ルヴィアさんの上司の友人、ルレイアさんのハーレム会員の一人だそうで。

ルレイアさんが命令すると、喜んで何でも従うそうだ。

夫婦二人の生活なんだから、そんなに広い家でなくても良いのに…用意されていたのは、十人くらいはゆうに暮らせそうな大豪邸だった。

その家が、今の私達の住みかになっている。

広くて掃除が大変そうだと思ったかもしれないが、実は、私は掃除はしていない。

この家に住んでいるのは、私とルヴィアさんだけではない。

住み込みの使用人が二人、一緒に住んでいるのだ。

二人共女性で、掃除や洗濯などの家事を請け負ってくれている。

最初の頃は食事作りもしてくれようとしたが、私が断った。

炊事まで奪われたら私の仕事が何もなくなってしまうし、それに…ルヴィアさんの食事は、私が作ってあげたかった。

それに、私には気を紛らわすものが必要だった。

そもそも私は、家に使用人が住み込むのは気が進まなかったのだ。

よく知らない人に家の中を触られるのは、何となく落ち着かないと言うか…。

今まで掃除も洗濯も自分でしていたのに、いきなりそれを他人にされるとなると、違和感がある。

けれども、ルヴィアさんがどうしても家に使用人を置きたいと言ったのだ。

ここに亡命したばかりの頃、私は例の暗殺者に腕を傷つけられ、怪我をしていたし…。一度、怪我が悪化して熱を出したこともあり、ルヴィアさんは私が家に一人でいることを許さなかった。

「フューニャは体調が悪いのに無理して家事しようとするから、いっそ使用人に家事を全部やらせてフューニャがやることをなくしてしまえば、大人しくしているだろう」

彼はそう言って、半ば強引に使用人を二人、連れてきた。

最初は私も戸惑ったが、今では良かったと思っている。

というのも、二人共よく気がつくし、優しくて親切だし、仕事も丁寧だ。

それに、昼間ルヴィアさんがいない間の話し相手にもなってくれる。

二人共、家事をさせられる為にマフィアに入ったのではないのだろうに…不満などおくびにも出さず、にこやかに接してくれる。
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